2005 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン受容体遮断薬の新たな降圧作用発現機構の関する研究
Project/Area Number |
16590074
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
屋山 勝俊 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30248108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 博 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (00028870)
鷹野 正興 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30258107)
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Keywords | アンジオテンシンII / eNOS / 高血圧 / アンジオテンシン受容体遮断薬 / ブラジキニン |
Research Abstract |
アンジオテンシンII(Ang II)の受容体には2種類のサブタイプが知られ、血管収縮やアルドステロン分泌等の血圧上昇にかかわる作用はAT1受容体(AT1R)により仲介されるが、AT2受容体(AT2R)は血管弛緩や細胞増殖抑制等、AT1Rを介するAng II作用とは拮抗関係にあることが最近明らかになった。しかし、AT2Rの発現は正常組織では極めて低いため、AT2Rを介したAng IIの作用機構については依然不明である。そこで、血管のAT2R活性化による血管弛緩機構に関し検討を行った。 腹部大動脈狭窄(Banding)により、ラットあるいはマウス胸部大動脈に持続的負荷を与えたところ、胸部大動脈でのAT2R発現が顕著に増加した。この血管でのAT2R機能を解析した結果、Ang IIによるAT2R刺激は、AT1R依存性の収縮応答を非競合的に抑制し、この抑制にはブラジキニンB2受容体(B2R)が介在し、血管のNO産生亢進に続くcGMP応答によって弛緩反応を起こすことが明らかとなった。 次に、アデノウイルスによりヒトAT2R遺伝子をヒト臍帯静脈内皮細胞に導入発現させたところ、AT2R刺激は、eNOS蛋白発現の亢進を引き起こし、またeNOSのSer1177リン酸化を亢進させることが明らかとなった。 これら結果より、血管内皮細胞のAT2R刺激は内皮細胞でのブラジキニン産生遊離を起こしてeNOS蛋白自体の産生を高め、同時にeNOSリン酸化を誘導すると考えられた。高血圧負荷を受ける血管内皮はAT2Rを発現し、Ang II刺激をeNOS発現とeNOS活性化を介し、AT1Rによる血管収縮に非競合的に拮抗すると想像される。このような機構は、高血圧等による過度の機械的ストレスを回避する一つとして理解されるが、AT1R遮断薬の作用機構に対しても新たな理解を与える。
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Research Products
(2 results)