2006 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン受容体遮断薬の新たな降圧作用発現機構の関する研究
Project/Area Number |
16590074
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
屋山 勝俊 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30248108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 博 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (00028870)
鷹野 正興 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30258107)
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Keywords | アンジオテンシン / アンジオテンシン受容体 / NO合成酵素 |
Research Abstract |
血管へのずり応力、VEGFによる刺激はAktを活性化(リン酸化)し、それによってeNOSのリン酸化(Ser1177)が行われ、NO産生が亢進する。そこで、bandingや2KIC高血圧を惹起したマウス大動脈でのアンジオテンシンタイプ2(AT_2)受容体活性化と、それに続くブラジキニンB_2(B_2)受容体を介したeNOSリン酸化は、同様に活性化Aktにより行われるのであろうか?そこで、これらマウス大動脈でのAkt量と、その活性型であるリン酸化Akt(Ser473)量を測定したところ、両者とも増加することを認めた。しかし、これらAkt量とリン酸化Akt量の増加は、PD123319あるいはicatibantを投与しても全く影響を受けなかったこのことは、AT_2受容体刺激により引き起こされるeNOSリン酸化の亢進に、Aktは関与しないことを示す。 このことをさらに詳細に明らかにするため、bandingマウスの胸部大動脈から血管リング標本を作製し、マグヌス装置内でアンジオテンシンII(Ang II)を添加した後、リン酸化eNOS(Ser1177及びSer633)量を測定した。Bandingマウスから摘出したリング標本では、in vitroでのAng II刺激によってリン酸化eNOS量は増加したが、対照マウスのリング標本では、Ang II刺激によっても、そのような作用は認められなかった。次に、AT_2受容体刺激にともなうeNOSリン酸化を検出する実験系に、Akt活性化の上流にあるPI3Kの阻害薬、及びprotein kinase A(PKA)の阻害薬を添加し、AT_2受容体刺激がPI3K/Akt系あるいはPKA系のいずれによってeNOSリン酸化へと仲介されるのかを検討した。その結果、bandingマウス大動脈リング標本でのAng IIによるeNOSリン酸化の亢進作用は、PI3K阻害薬であるwortmannin及びLY24002のいずれによってもほとんど影響されず、一方、PKA阻害薬であるH89とKT5720の両者によって強く抑制された。これらの結果は、AT_2受容体刺激によるeNOSリン酸化の亢進が、PI3K/Akt系ではなく、PKA系を介して行われることを示している。
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Research Products
(1 results)