2004 Fiscal Year Annual Research Report
シクロオキシゲナーゼ-2の遺伝子発現を抑制するオレイン酸エステルオゾニド
Project/Area Number |
16590080
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三浦 敏明 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (10091505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 正 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20212219)
田元 浩一 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (50088861)
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Keywords | オゾニド / シクロオキシゲナーゼ-2 / 抗炎症薬 / シグナル伝達系 / NFκB / MAPキナーゼ / TNF-α |
Research Abstract |
オレイン酸を主要構成脂肪酸とするオリーブ油のオゾン反応物(オゾン化オリーブ油)はヒトやウシの各種皮膚疾患に高い治療効果を示すが、我々は、その作用メカニズムの一つとして、オゾン化オリーブ油やオゾン化オレイン酸メチルがプロスグガランジン産生酵素であるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の遺伝子発現を抑制することを見出した。平成16年度の研究では、この作用がオレイン酸エステルオゾニド(OEO)に特有のものか、オゾニド一般に共通する作用であるかを明らかにすること、COX-2発現に至るいくつかの細胞内シグナル伝達系のどの系にOEOが作用するかを明らかにすることを目的とし、以下の成果を挙げることができた。 1.マクロファージ様ヒトTHP-1細胞をLPSで刺激した場合に誘発されるCOX-2の発現は、オゾン化オリーブ油がNFκBの活性化阻害(IKKαによるリン酸化の阻害)を介して抑制することを明らかにしたが、このような作用は、トリオレイントリオゾニドや合成単離したオレイン酸メチルオゾニドのシスおよびトランス異性体のいずれにも認められた。しかし、やや作用は弱いものの、極性官能基の多いオゾニドや他の官能基を有しないオゾニドでも同様な作用が認められたことから、NFκBの活性化阻害を介したCOX-2発現抑制作用はオゾニド一般に共通する作用であることが確認できた(日本統合医療学会で発表)。 2.LPS刺激によるTHP-1細胞のCOX-2誘導にはMAPキナーゼ系の活性化も関与することが示されたが、この系の転写因子であるp38やJNKのLPS刺激によるリン酸化の亢進はOEOで抑制されず、OEOはNFκB活性化経路に選択的に作用していることが示された(日本褥創学会で発表)。 3.マウスRaw細胞株をLPSで刺激するとNFκBの活性化阻害を介してTNFαが誘導されるが、OEOはこの誘導も抑制した。
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