2005 Fiscal Year Annual Research Report
シクロオキシゲナーゼ-2の遺伝子発現を抑制するオレイン酸エステルオゾニド
Project/Area Number |
16590080
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三浦 敏明 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (10091505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 正 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20212219)
田元 浩一 北海道医療大学, 薬学部, 助教授 (50088861)
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Keywords | オゾニド / シクロオキシゲナーゼ-2 / 抗炎症作用 / シグナル伝達系 / NFκB / MAPキナーゼ / TNF-α |
Research Abstract |
ヒトやウシで発症する外表病変に高い治療効果を発揮するオゾン化オリーブ油の成分組成を明らかにするとともに、その作用メカニズムの一つとして既に明らかにしているシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現抑制作用についてオゾニドの構造と活性の関連を検討し、以下の成果を挙げることができた。 1.オゾン化オリーブ油および、オリーブ油の主成分であるトリオレインのオゾン化生成物の成分とその構造について検討し、主成分のトリオレイントリオゾニド(6種類の立体異性体)の他に、脂肪酸部位の二量体化による低分子クロスオゾニド、トリグリセリドの二量体化および三量体化をともなった高分子クロスオゾニドも含まれていることを証明し、オゾン化オリーブ油の成分組成の全体像を明らかにすることができた。 (日本分析化学会北海道支部夏季研究発表会で発表、2005年7月)、Anal.Sci.に投稿中 2.マクロファージ様ヒトTHP-1細胞をLPSで刺激した場合に誘発されるCOX-2の発現をオゾン化オリーブ油が抑制するが、このような作用はオレイン酸メチルから合成したシスおよびトランス体のオゾニドや、他の官能基を有しないオゾニドでも認められたことから、オゾニド一般に共通する作用であることが示唆された。また、これらの作用はIKKαによるリン酸化の阻害を介するNFκBの活性化阻害によるものであり、オゾニドはMAPキナーゼ系には影響しないことも明らかにした。 (第17回世界オゾン会議で発表、Strasbourg,2005年8月)投稿準備中 3.マウスRAW細胞株をLPSで刺激するとNFκBの活性化を介してTNFαが誘導されるが、各種オゾニドはこの誘導も阻害した。また、LPS無刺激の条件では、オゾニド類は逆にTNFαの産生を有意に上昇させた。このようなオゾニドによるNFκB活性の調節作用は、オゾニドの創傷治癒作用に関係する興味深い現象である。
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