2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590090
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
伊古田 暢夫 独立行政法人放射線医学総合研究所, レドックス制御研究グループ, グループリーダー (80159649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 郁夫 独立行政法人放射線医学総合研究所, レドックス制御研究グループ, 研究員 (70356137)
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Keywords | ラジカル / 活性酸素 / 活性窒素 / ラジカル消去剤 / ESR / インドール |
Research Abstract |
生体が放射線や紫外線、低酸素状態(虚血)などの内的要因によるストレスに曝されると活性酸素などのフリーラジカルが生成する。それらは、スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、一酸化窒素などのラジカル種である。通常は生体が本来有しているフリーラジカル消去システムにより除去されるため障害は起こらない。障害は生体内で発生する活性酸素や活性窒素などのフリーラジカルが消去されない時に生じる。これらフリーラジカルによる生体成分の損傷は、核酸塩基の酸化や鎖の切断、蛋白質の酸化による酵素機能の不活性化、脂質過酸化であり、これらが蓄積すると種々の障害・疾病が生じる。本研究では、種々のフリーラジカル種に対する消去化合物を探索した。本年度は主としてスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカルやペルオキシルラジカルの消去能について、電子スピン共鳴法によるスピントラッピング法、DPPHを用いる分光法によって、またin vivo評価においては致死量の放射線(7-8Gy)に対するマウスの30日間生存率を調べ有効性を調べた。また分解してヒドロキシルラジカルとNO2ラジカルを生成するパーオキシナイトライト(PN)についてその消去物質を探索した。今回用いた消去剤は、水溶性ビタミンE誘導体であるトロロックスに、システイン、ビタミンC誘導体、セレン含有化合物を、エステルあるいはアミド結合で共有させた化合物、ならびに平面型カテキン誘導体を化学合成した。これらの化合物のフリーラジカル消去能を調べ、トロロックスと同等のスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル消去能を有していた。平面型カテキンは側鎖が長くなる程、分光法によるペルオキシルラジカル消去能は高くなったが、スーパーオキシドやヒドロキシルラジカル消去能は弱くなった。放射線照射に対するマウスを用いた防護能は、ビタミンC誘導体やセレン含有化合物に防護能が認められた。またパーオキシナイトライトに対する消去作用を内在性化合物、天然物、合成化合物から探索し、Trpやメラトニン、5-メトキシトリプタミンの様にインドール骨格を有する化合物が、Tyrの酸化反応は抑えず、ニトロ化のみを選択的に抑えることを見出した。このことは、パーオキシナイトライトの活性種がcaged NO_2ラジカルとOHラジカルだけでは無く、別の経路の存在を示唆した。
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Research Products
(9 results)