2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規環境汚染物質ブロム化難燃剤および水酸化PCBの甲状腺ホルモン機能の攪乱
Project/Area Number |
16590092
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
北村 繁幸 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (40136057)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 成明 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教授 (40243612)
柏木 昭彦 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50106796)
太田 茂 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60160503)
杉原 数美 広島大学, 医学部, 教務員 (20271067)
|
Keywords | 水酸化PCB / ブロム化難燃剤 / 甲状腺ホルモン / 内分泌撹乱作用 / 代謝的活性化 / アゴニスト作用 / オタマジャクシ / 変態 |
Research Abstract |
ブロム化難燃剤はパソコン、テレビを始めとする家電品の難燃剤として広く使用されているが、その環境への残留性からダイオキシンにかわる新らたな環境汚染物質として注目されている。また、水酸化PCBは生体内に残存する活性代謝物として、PCBの毒性の一役を担っていると考えられている。一方、これらの化合物の中には、甲状腺ホルモンとの構造類似性が見られることから、甲状腺ホルモン作用を撹乱する可能性が考えられている。そこで、ブロム化難燃剤および水酸化PCBの甲状腺ホルモンレセプターと親和性をbinding assayおよびレポーターアッセイ系を用いて検討した。またin vivoでの影響評価として、オタマジャクシからカエルへの変態を指標とした検討を行った。その結果、下垂体細胞MtT/E-2の甲状腺レセプターに対して、代表的なブロム化難燃剤であるテトロブロモビスフェノールAおよびいく種かの水酸化PCBは強固に結合することを見出した。また、下垂体細胞GH3の増殖および成長ホルモンの分泌を促進し、アゴニスト作用が見られた。これに対して、甲状腺レセプターをトランスフェクトしたチャイニーズハムスター卵巣細胞CHOに対しては、アンタゴニスト作用を示した。さらに、甲状腺ホルモンレセプターとの親和性の構造的要因を検討した結果、4位に水酸基および3,5位にハロゲンが必須であった。一方、オタマジャクシが変態する際に、甲状腺ホルモンが促進することが知られている。そこで、オタマジャクシからカエルへの変態(尾の短縮および手足の伸長)を利用して、これらの物質の甲状腺ホルモン撹乱作用を検討した結果、テトロブロモビスフェノールAおよびは4-hydroxy-3,3',4',5-tetrachlorobiphenylは甲状腺ホルモンによる尾の短縮および手足の伸長を著しく阻害し、甲状腺ホルモン撹乱作用を示した。
|
Research Products
(7 results)