2005 Fiscal Year Annual Research Report
発がん性エチルベンゼンの光分解物および代謝物による遺伝子損傷機構
Project/Area Number |
16590097
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
小嶋 仲夫 名城大学, 薬学部, 教授 (80333178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 康次 名城大学, 薬学部, 助手 (30351092)
戸田 千登世 名城大学, 薬学部, 助手 (00076738)
橋爪 清松 名城大学, 薬学部, 助教授 (50076733)
川西 正祐 三重大学, 医学部, 教授 (10025637)
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Keywords | 化学発がん / 環境化学物質 / 酸化的遺伝子損傷 / 酸化還元サイクル / 活性酸素種 / 代謝活性化 / 光活性化 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
エチルベンゼンは大気汚染や室内環境汚染の原因物質のひとつである。車両燃料の添加剤や塗装用溶剤として広範に使用されており、環境中において高濃度で検出される。エチルベンゼンは、国際がん研究機関IARCの分類では「ヒトに対して発がんの可能性がある」グループ2Bにランクされており、発がん性が懸念されている。しかしながら、エチルベンゼン自体には発がんの引き金となる遺伝子損傷作用はなく、その機序は解明されていない。そこで我々は、環境中に放出されたエチルベンゼンが光曝露や代謝を受けて活性化されるのではないかと考え、本研究においてそれを実証した。光により生成する過酸化物がDNAの連続グアニン塩基を酸化損傷することを示したのをはじめ、代謝によりカテコールおよびヒドロキノン体へ変換される結果、銅を介した酸化還元サイクルで過酸化水素が発生しDNA損傷を引き起こすことを明らかにした。さらに、この機序は他の化合物においても起こり得るメカニズムではないかと考え、対象を他の化合物に拡大し本研究を発展させた。ベンゼン環の水酸化は他の活性にも重要であり、例えば女性ホルモンとの構造類似による内分泌撹乱活性の獲得などの可能性が考えられる。身近な環境化学物質であるプラスチック可塑剤(フタル酸エステル)や紫外線吸収剤(ベンゾフェノン)、代表的な内分泌撹乱性環境化学物質ノニルフェノールなどに関して検討したところ、これらは光曝露および代謝により親物質にはなかった活性を獲得した。また、遺伝子損傷作用発現に必要な周辺部分構造についてカテコールおよびキノンを基準に検討した結果、キノン型が周辺構造に関係なく活性を示すのに対し、カテコール型はそれらの影響を受けやすいことがわかった。本研究の成果として、化学物質の環境中や体内での活性化および活性発現の分子機構、さらにはそれらの活性の制御に関して有用な多くの知見を得ることができた。
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Research Products
(5 results)