2005 Fiscal Year Annual Research Report
薬物の胎盤透過に関与するヌクレオシドトランスポーターの同定および機能評価
Project/Area Number |
16590104
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菅原 満 北海道大学, 病院, 助教授 (60332467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井関 健 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (40203062)
平野 剛 北海道大学, 大学院・薬学研究科, 講師 (00322826)
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Keywords | ヌクレオシドトランスポーター / 胎盤透過 / リバビリン |
Research Abstract |
昨年度までの検討で,抗ウイルス薬リバビリンの胎盤透過にはヌクレオシドトランスポーター(NT)が関与していることが明らかとなった.そこで,現在同定されている6種のNTサブタイプのcDNAをクローニングし,発現系を用いた機能解析により,それぞれのサブタイプの寄与を検討した.その結果,リバビリンはナトリウムイオン共輸送系(CNT)には高親和性であり(Km=〜20μM),一方,促進拡散系(ENT)には低親和性である(Km=〜数mM)ことが明らかとなった.また,胎盤の上皮細胞においては,刷子縁膜にCNT,ENT両方が発現していることが報告されていることから,ヒトCNT3およびヒトENT1のクローンを用いて共発現細胞(Xenopus Oocytes)を作製し,リバビリンの取り込みをみたところ,CNT3によって取り込まれた薬物はENT1によって排出されて細胞内の濃度が維持されていることを示唆する結果が得られた.したがって,胎盤透過においては,リバビリンの輸送に胎児側に濃縮的に働く方向性が無い可能性が示唆された. 一方,刷子縁膜にCNTが,基底膜にENTが発現していることが明らかにされている小腸においても,リバビリンの吸収にこれらのトランスポーターが寄与しており,刷子縁膜側で濃縮的に吸収細胞に取り込まれたリバビリンは基底膜側では促進拡散により血液中に輸送されることが示唆されたことから,各臓器の細胞における各トランスポーターも発現状態(局在性)の違いにより,薬物輸送特性が異なるものと考えられた. CNT:Concentrative nucleoside transporter ENT:Equilibrative nucleoside transporter
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