2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝腎トランスポーターを介した薬物間相互作用の分子基盤
Project/Area Number |
16590108
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
加藤 将夫 金沢大学, 自然科学研究科, 助教授 (30251440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 彰 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (10019664)
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Keywords | 薬物間相互作用 / トランスポーター / 体内動態 / 生体膜透過 / 薬物速度論 / 尿細管分泌 / 腎臓 / 腎排泄 |
Research Abstract |
医薬品の作用・副作用の個人差や薬物間相互作用の原因の多くは、薬物の生体からの消失過程に起因する問題である。薬物トランスポーターは近年多くの分子種が発見され、薬の分布や排泄に関わることが示唆されつつある。本研究はトランスポーターによる薬物の生体膜透過に焦点を当て、腎排泄過程における薬物間相互作用を試験管レベルの実験から定量的に予測するための分子的および薬物速度論的基盤の構築を目的とした。モデル薬物として、腎で尿細管分泌を受ける現在開発中の新規ループ利尿薬M17055を用いた。M17055の腎皮質切片への取込み機構を解析したところ、p-aminohippuric acid、benzylpenicillin、probenecidなど種々の有機アニオン性化合物により取り込みが低下した。遺伝子発現系を用いた解析から有機アニオントランスポーターOAT1が少なくとも一部取り込みに関係することが示唆された。しかし取り込み機構の特徴はOAT1のみでは説明できず、有機カチオンtetraethylammoniumも若干取り込みを阻害したことから、多様な取り込み機構の関与が示唆された。本研究により、遺伝子発現系を用いた相互作用予測系が確立され、個体レベルでの実験と併せ、予測手法の妥当性を検証することが可能となった。一方、腎臓に取り込まれた薬物の管腔側への排泄に関与すると思われるトランスポーターOCTN1について、ヒトで見られる種々の変異遺伝子発現系を構築し、輸送活性や細胞内局在の解析を行ったところ、有機カチオン輸送能の大きく低下する変異体を新たに見いだした。このことは相互作用予測において用いるべきトランスポーター遺伝子についての重要な知見であり、次年度においてさらに各変異体による基質認識特性を解析する必要性を示した。
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Research Products
(2 results)