2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管内皮細胞、周皮細胞、星状細胞が関わる血液脳関門における基底膜維持機構の解明
Project/Area Number |
16590120
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Research Institution | Kyoritsu University of Pharmacy |
Principal Investigator |
中島 恵美 共立薬科大学, 薬学部, 教授 (90115254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
崔 吉道 共立薬科大学, 薬学部, 助教授 (40262589)
飯笹 久 共立薬科大学, 薬学部, 助手 (80306662)
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Keywords | 血液脳関門 / 基底膜 / 内皮細胞 / 周皮細胞 / 星状細胞 / タイトジャンクション / SV40 T抗原 / 条件的不死化細胞 |
Research Abstract |
血液脳関門(BBB)における基底膜の維持は、周皮細胞、内皮細胞、星状細胞による膜成分の産生、分解および分解阻害の均衡で起こるが、この均衡の崩れは、病態につながる。本研究では、BBB基底膜の変成と修復に関与する分子の発現について、細胞間相互作用の検討を、条件的不死化細胞株を用いて行う。更に基底膜変成にかかわることが示唆されている内因性および外因性因子に対する各細胞の反応性を比較する。 本年度は、TR-BBB(脳毛細血管内皮細胞)、TR-AST(2型星状膠細胞)およびTR-PCT(脳血管周皮細胞)の単独培養および共培養系を用いて、種々の薬物排泄輸送に関わるABCG2がラット脳毛細血管内皮細胞の血管側細胞膜に局在し発現すること、ABCG2の発現が星状膠細胞由来の分泌因子によって誘導されることを明らかにした。更に、周皮細胞から分泌されたangiopoietin-1マルチマーが毛細血管内皮細胞におけるTie-2受容体を活性化し、密着結合分子であるoccludinの発現を誘導することを明らかにした。また、TR-BME(骨髄由来血管内皮前駆細胞)と担がんラットを用いて、TR-BMEが腫瘍部位に集積し血管新生能を持つことを明らかにした。ラットより樹立したTR-TBT(胎盤合胞体性栄養膜細胞)を用いて、物質の胎盤関門透過性の制御に関わる可能性が考えられる種々トランスポーター遺伝子のmRNA発現を網羅的解明も行った。 これらの成果は、今後展開する薬物の組織移行メカニズム解明研究の基盤となるものである。今後は、関門機能維持におけるシグナル伝達系の更なる解明、更にその破綻を想定した遺伝子ノックアウトによる検証を検討し、関門組織の変成疾患治療への新しい糸口につなげたい。
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Research Products
(4 results)