2005 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血リンパ球の免疫抑制薬感受性および薬物の治療効果と黄色ブドウ球菌感染との関連
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16590125
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (90173252)
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Keywords | 末梢血リンパ球 / 免疫抑制薬感受性 / 黄色ブドウ球菌 / スーパー抗原 / サイトカイン |
Research Abstract |
本年度は、慢性腎不全(CRF)患者由来末梢血単核細胞(PBMC)を免疫抑制薬存在下あるいは非存在下にスーパー抗原TSST-1で刺激したときの細胞の増殖率や、細胞から産生されるサイトカインの量、パターンを検討した。CRF患者および健常者の静脈血よりPBMCを分離し、TSST-1刺激した場合とコンカナバリンAで刺激した場合とで、免疫抑制薬感受性を比較検討した。さらに、PBMCから産生されるサイトカインの量やパターンなどを、TSST-1刺激したPBMCとコンカナバリンAで刺激したPBMC間で比較検討した。CRF患者PBMCに対するプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、シクロスポリン、あるいはタクロリムスの抑制効果は、PBMCをTSST-1で刺激すると有意に低下した(p<0.05)。一方健常者PBMCの場合、TSST-1で刺激することによりプレドニゾロン感受性とメチルプレドニゾロン感受性のみ有意に低下した(p<0.05)。グルココルチイドや免疫抑制薬存在下あるいは非存在下にTSST-1で刺激したPBMCの培養上清中に放出されるサイトカインを、ELISA法により測定した。TSST-1で刺激した場合とコンカナバリンAで刺激した場合とで、PBMCから産生されるサイトカインパターンに違いがみられた。特にIL-2およびIL-12産生量は、TSST-1で刺激したときに有意に高値を示した(p<0.05)。以上のように、TSST-1はPBMCに対して異常なサイトカイン産生応答を誘導し、免疫抑制薬耐性を引き起こすことを示唆した。
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