2004 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚微生物叢の除菌と制御に基づくアトピー性皮膚炎の治療
Project/Area Number |
16590127
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
杉田 隆 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (10312076)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / マラセチア / 菌相解析 / 遺伝子型 / タクロリムス / 抗真菌薬 / アゾール |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎(AD)は増悪、寛解を繰り返す疾患である。申請者はこれまでに、AD患者皮膚に常在する微生物に着目し、中でも酵母マラセチア菌が本症の増悪因子となりうる可能性を明らかにしてきた。本研究の目的は、増悪因子としての皮膚微生物を標的とする新しい治療法開発、および病態制御のための薬学的基礎データを得ることである。本年度は、1)AD患者のマラセチア菌の菌相解析、2)マラセチア菌の効率的除菌法の開発を行った。 1)AD患者皮膚上のマラセチア菌の菌相解析:AD患者の皮膚鱗屑中に存在するマラセチア菌を非培養法で解析した。その結果、特定の2菌種がほぼ全例の患者から分離された。健常人の菌相もAD患者とほぼ同様であった。次に分離株のゲノムを網羅的に解析したところ、ゲノム中に(CT/GT)nの反復配列を見い出した。患者と健常人ではその反復数が異なっていたことから、AD患者は特定の遺伝子型株に支配されていることが明らかになった。 2)マラセチア菌の効率的除菌法の開発:上述した菌相解析結果から、除菌のための標的菌種が特定された。AD治療薬タクロリムス、ステロイド、およびアゾール系抗真菌薬のマラセチアに対する効果をin vitroで測定した。ステロイドはマラセチアの増殖に何ら影響を与えなかったがタクロリムスは抗真菌作用を示した。また、アゾール系抗真菌薬は低濃度で発育を阻止した。更に、タクロリムスとアゾール薬を併用すると相乗効果が認められ、各々の薬剤の1/4程度の濃度で発育を阻止できた。このことから、両薬剤を併用することで抗炎症作用のみならず効率的にマラセチア菌を除菌できる可能性が示された。また投与量の軽減にも寄与できるると考えらえた。
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Research Products
(4 results)