2006 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚微生物叢の除菌と制御に基づくアトピー性皮膚炎の治療
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16590127
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
杉田 隆 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (10312076)
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Keywords | アトピー性皮膚炎 / マラセチア / 増悪因子 |
Research Abstract |
アトピー性皮膚炎(AD)は増悪と寛解を繰り返す強い掻痒感を伴う皮膚疾患である。皮膚には多種多様な微生物が常在しているが、これがADの増悪因子となることがある。われわれは、中でも増殖に脂質を要求する酵母マラセチアとADとの関係に着目してきた。AD患者では皮膚セラミドバリア機能が欠損していることから、皮膚微生物に対するIgE抗体が産生される。従って、提示される抗原の産生を抑制すれば当該菌種を静菌的に保ってもADの増悪を抑制することが可能となる。また、マラセチアはその増殖に脂質が必要である。本菌は菌体外にリパーゼを分泌して皮脂を分解し自らの栄養源としている。本年度では、ADの標準的治療薬に、1)アレルゲンタンパク抑制作用、2)分泌性リパーゼ産生抑制作用を有するか検討した。主要アレルゲンとして考えられているMnSODおよびシクロフィリンホモログタンパク、また分泌型のリパーゼ遺伝子をAD患者皮膚主要構成菌種(M.globosaおよびM.restrictaからクローニングした。マアセチア菌をステロイド薬およびタクロリムス(カルシニューリン阻害薬)で処理後、標的遺伝子の発現をreal-time PCRで測定した。その結果、タクロリムスはアレルゲンタンパク質の遺伝子発現を、ステロイドはリパーゼ遺伝子の発現を臨床濃度で抑制させた。以上のことから、ADの標準的治療薬は本来の抗炎症作用に加えてマラセチア菌に対する増悪因子抑制作用を介した作用も有することが示唆された。
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Research Products
(6 results)