2004 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン受容体遮断薬による肝再生促進機序に関する研究
Project/Area Number |
16590130
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
岡本 博 神戸学院大学, 薬学部, 教授 (00028870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
屋山 勝俊 神戸学院大学, 薬学部, 講師 (30248108)
鷹野 正興 神戸学院大学, 薬学部, 助手 (30258107)
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Keywords | 肝再生 / アンジオテンシンII / レニンーアンジオテンシン系 |
Research Abstract |
【目的】血圧調節や体液保持において重要な因子として知られるレニン・アンジオテンシン系が肝再生にも関与していることが示唆された。我々はACE阻害薬、およびAT1受容体遮断薬投与により、(1)マウス肝再生が促進されること、(2)肝細胞増殖因子であるHGF遺伝子の発現がさらに亢進することを確かめた。今回、AT1受容体欠損マウスを用いてアンジオテンシンIIがマウス肝再生に与える影響についてさらなる検討を加えた。【方法】AT1受容体欠損マウスおよびワイルドタイプマウスの肝臓を70%切除し、肝臓摘出1時間前にプロモデオキシウリジン(BrdU)を投与した。摘出した肝臓で組織切片を作成後、抗BrdU抗体を用いた酵素抗体法によりBrdU陽性核数をカウントした。また、HGF遺伝子の発現はRT-PCR Southernblot法により検討した。【結果・考察】AT1受容体欠損マウスおよびワイルドタイプマウスに部分肝切除術を施すと、術後48時間目をピークとしたBrdU陽性核数の増加が認められた。次に、術後48時間目におけるこれらマウス間のBrdU陽性核数を比べると、BrdU陽性核数はワイルドタイプマウスに比べAT1受容体欠損マウスの方が著しく増加していた。さらに、術後48時間目におけるHGF遺伝子発現を検討した結果、ワイルドタイプマウスに比べAT1受容体欠損マウスの方が有意に増加していた。以上の結果より、アンジオテンシンIIはHGF遺伝子の発現を抑制することにより肝細胞増殖を抑制させる方向に働いているものと考えられた。
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