2005 Fiscal Year Annual Research Report
マウス口蓋裂の表現型におけるpolymorphismとその発症機構の解明
Project/Area Number |
16590144
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
滝川 俊也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
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Keywords | マウス / 口蓋裂 / TGFβ3 / 脱メチル化剤 / インプリンティング遺伝子 / 羊水 |
Research Abstract |
100%の頻度で完全口蓋裂のみを発症するTGFβ3遺伝子欠損マウス(C57BL/6J系統)のホモ胎児口蓋を脱メチル化剤(5-アザデオキシシチジン)添加培地で培養して、ICR系統での不完全口蓋裂と同等の表現型にまで約80%の確立でレスキューし得た実験結果から、C57BL/6J系統TGFβ3ホモ胎児の完全口蓋裂表現型はTGFβ3遺伝子単独の異常によるものではなく、C57BL/6Jの遺伝学的背景に隠されている劣性遺伝的修飾因子との複合により生じることか示唆された。この実験に用いた5-アザデオキシシチジンの効果を遺伝子レベルで確認するため、培養後の実験群と対照群の口蓋組織からそれぞれゲノム・DNAを抽出し、代表的なインプリンティング遺伝子であるIgf-2rのアンチセンスRNAプロモーター領域(DMR2)およびセンスRNAプロモーター領域(DMR1)のメチル化状態の差異を解析した。その結果、5-アザデオキシシチジンは培養開始前までにメチル化されたDNAの脱メチル化は起こさないものの、培養中に起こる新規メチル化を効果的に抑制すること、およびその新規メチル化抑制効果はDMR2に対するよりもDMR1に対してより強く作用することが判明した。また、5-アザデオキシシチジンを用いて、in vivoで同様のレスキュー実験を試みたが、口蓋裂表現型の変化は観察されなかった。さらに、in vitroとin vivoでの脱メチル化剤の効果の差異の一つに子宮内環境因子である羊水が関与している可能性が示唆されたため、マウス羊水およびインフォームドコンセントにより承諾を得て採取されたヒト羊水の成分解析を行うとともに、マウス胎児の実験的破裂口蓋モデルを作製し、その破裂創の治癒を指標として種々の培養実験により、in vitroで子宮内環境を再現し得る人工羊水の開発に成功した(現在、特許出願準備中)。
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