2006 Fiscal Year Annual Research Report
分枝形態形成メカニズムの研究:上皮組織形態の多様性の理解を目指して
Project/Area Number |
16590151
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
門谷 裕一 北里大学, 医学部, 講師 (10185887)
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Keywords | 基底膜 / 唾液腺 / 分枝形態形成 / 電子顕微鏡 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
器官培養下の顎下腺上皮をラミニンα5鎖由来の機能ペプチドLVLFLM{GH (A5G77f)、PI-3キナ「ゼ阻害剤、FGFR1受容体チロシンリン酸化阻害剤でそれぞれ処理した際の上皮形態を比較したところ、A5G77fにより上皮基底部に多数のクレフト(cleft)が誘導されることが判った。クレフトの誘導は可逆的で、ペプチドの作用を中止するとその多くは消失することより、上皮分岐部形成の初期像をとらえ得たものと考えた。従来、上皮分枝形態形成では、上皮基底部に生じた多数のクレフトの一部のみが安定した分岐部へと発達、残りは短時間のうちに消え去るというきわめて動的な過程であり、その詳細は不明であった。そこで本年度は、A5G77fで誘導されるクレフトに焦点を絞って解析を行った。このクレフトは隣接する2細胞間に形成され、幅は0.3μm、様々な奥行きのものが認められたが、深いものでは10μm以上にもわたった。クレフトに面する細胞膜は連続した基底膜で覆われていた。様々な長さのクレフトについて検討したところ、クレフトがその最深部では片方の細胞から庇様にのびだした突起の基部に侵入しおわることが判明した。これらの突起はアクチン細線維を芯としていた。さらに、ホールマウント蛍光色素染色法でアクチン線維の分布を観察したところ、アクチン線維は隣接する細胞膜直下に多く分布する傾向があった。以上より、クレフトは隣接する細胞膜の単なる裂け目ではなく、その形成は上皮細胞自身の変形により引き起こされるものと結論した。
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Research Products
(1 results)