2007 Fiscal Year Annual Research Report
分枝形態形成メカニズムの研究:上皮組織形態の多様性の理解を目指して
Project/Area Number |
16590151
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
門谷 裕一 Kitasato University, 医学部, 講師 (10185887)
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Keywords | 基底膜 / 唾液腺 / 分枝形態形成 / 器官培養 / 細胞骨格 / タイムラプス / ラミニンペプチド |
Research Abstract |
前年度までの研究で、器官培養トの顎下腺上皮をラミニンα5鎖由来の機能ペプチドLVLFLNHGH(A5G77f)で処理すると上皮細胞基底部に多数のクレフト(cleft)が誘導されることを明らかにしている。このクレフトの誘導は可逆的で、ペプチドを培養液から洗うとその多くは消失する。これらより、上皮分枝形態形成では、上皮基底部に生じた多数のクレフトの一部みが安定した分岐部へと発達、残りは短時間のうちに消え去るというきわめて動的な過程であることが予想された。ところで従平の固定標本の形態観察では細胞骨格や細胞形態の動的変化過程をとらえきれず、細胞外シグナルと細胞の形態変化を結びつけるメカニズムは不明なままであった。本年度は、特に動的過程での上皮系細胞の挙動を明らかにすることで、細胞膜裏打ち成分、細胞外基質成分などの局在様式と分枝形態形成との関わりを明らかにすることを目ざした。タイムラプス法で観察すると上皮分枝形態形成を行う顎下腺上皮細胞自身が極めて活発に運動していることがわかった。この運動は、クレト形成を誘導するA5G77fペプチド処理ではより活発になったが、クレフト形成を阻害するサイトカラシンD処理(0.5μΜ)では認められなくなった。これらの事実は、上皮形態形成におけるクレフト形成がダイナミックな細胞運動と関わることを示唆する。残念ながらクレフト特異的に分布、発現する細胞膜裏打ちタンパク質や細胞外基質、細胞骨格成分の同定には至っておらず、今後はクレフト形成における細胞動態を1つ1つの細胞レベルでの細胞の挙動の詳細を明らかにする必要があると考える。
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Research Products
(3 results)