2007 Fiscal Year Annual Research Report
有袋類の咀嚼・嚥下様式と顎・口腔領域の形態についての比較解剖学
Project/Area Number |
16590156
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Research Institution | The Nippon Dental University College at Tokyo |
Principal Investigator |
上野 隆治 The Nippon Dental University College at Tokyo, 准教授 (10160201)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塘 総一郎 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (10227639)
飯村 彰 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (30211022)
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Keywords | 有袋類 / ブラッシュテイルポッサム / コアラ / 上顎大臼歯 / 歯冠計測 / 頭蓋計測 / 歯列 / 示数 |
Research Abstract |
咀噛・嚥下機構と顎・口腔領域の形態的特質との関連性を解明するために、有袋類のブラッシュテイルポッサムをモデルとして上顎大霞歯の歯冠並びに頭蓋の計測を行い比較解剖学的な検討を加えて以下の知見を得た。 試料としてオーストラリア、アデレード大学医学部解剖学講座所蔵の南オーストラ・リア博物館所蔵のブラッシュテイルポッサム10頭(オス6頭、メス4頭)の乾燥頭蓋標本の貸与を受けた。各個体の上顎右側第一大臼歯から第四大臼歯の頬側近遠心径(BMD)、舌側近遠心径(LMD)、近心頬舌径(MBL)、遠心頬舌径(DBL)をデジタルキャリパーを用いて計測して、得られた値に統計解析を加えて歯列内の差異および性差を求め、頭蓋の計測値との関連性を検討するとともにコアラ上顎大臼歯の結果とも比較検討した。 ブラッシュテイルポッサムの上顎第一大臼歯は頬側近遠心径と遠心頬舌径、第二大臼歯は舌側近遠心径と近心頬舌径においてそれぞれ雌雄ともに他の3つの大臼歯より大きな値を示した。一方、上顎第四大臼歯はすべての計測値において他の3つの大臼歯よりも有意に小さい値を示した(p<0.05)。頭蓋の計測値では、最小頭蓋幅以外はオスの頭蓋はメスよりも大きな値を示したが、計測示数においては、メスの頭蓋幅に関する示数はオスよりも大きな値を示した。 これらの結果から、ブラッシュテイルポッサム上顎大臼歯間における歯冠の平均値と相対的変動のパターンはコアラと異なっていることが示された。 なお、上記の結果の一部は第53回オーストラリア哺乳類学会大会(2007年7月、ニューサウスウェールズ)、第61回日本人類学会大会(2007年10月、新潟県)ならびに第113回日本解剖学会総会・全国学術集会(2008年3月、大分県)において発表した。
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