2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590157
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
山田 久夫 関西医科大学, 医学部, 教授 (00142373)
|
Keywords | 慢性膵炎 / WBN / Kobラット / 神経増生 / 神経可塑性 / 神経トレーサー / 侵害受容 / 知覚神経 |
Research Abstract |
昨年度までにおこなった、WBN/Kobラット(慢性膵炎モデル)をもちいた研究から、慢性膵炎時に増生している神経束の特質について次のことが明らかとなっていた。(1)膵臓からの逆向性トレーサー、および脊髄後根神経節からの順向性トレーサーの実験の結果、膵炎進行に伴って後根神経節のニューロン脱落が起こるとともに、おそらくはその脱落を補うために残存する後根神経節からの末梢神経の分岐が増えて、結果的に神経増生が起こること。(2)これらの増生している末梢神経はSubstance PやCGRPと言ったニューロペプチドを持ち、(3)小型の後根神経節細胞であること。これらの結果から膵炎の病態進行に伴って、増生している神経束を利用した炎症性痛覚反応が起こることが予想された。すなわち慢性膵炎の患者でみられる持続的な痛覚の原因に関わると考えられる。そこでまず、痛覚反応が起こっている状態の脊髄後角にc-Fosが発現していること、すなわち痛覚経路のニューロンが持続的に活動していることを確かめた。次にモデルラットをもちいた行動実験もおこない、行動学的にも、慢性膵炎の際の神経増生の程度に応じて痛覚反応行動のおこることを確認した。以上の成果は現在論文として、Pancreas誌に投稿し査読の結果を踏まえて改訂中である。これらの実験と平行し、側面から末梢臓器での神経増生をより明らかにする目的で、Hirschsprung病での神経脱落に注目し、ラット腸管神経叢の正常発生を追究した論文を発表した。また、慢性膵炎での神経増生を神経再生モデルととらえ、中枢神経系での神経再生研究もおこなった。すなわち、神経活動に呼応してニューロン新生が活発になることや、未分化ニューロンのマーカーであるdpy-19を用いた解析をおこなった。
|
Research Products
(3 results)