2004 Fiscal Year Annual Research Report
重炭酸イオントランスポーターの機能の細胞内調節機構:反芻獣耳下腺からのアプローチ
Project/Area Number |
16590160
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石川 透 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (70249960)
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Keywords | 起電性Na-HCO_3共輸送体 / 重炭酸イオン分泌 / ウシ耳下腺 / パッチクランプ法 |
Research Abstract |
本研究は重炭酸イオン分泌上皮細胞に存在する起電性Na^+-HCO_3^-共輸送体(NBCe)の生物物理学的基質輸送特性、細胞内調節機構、および重炭酸イオン分泌における役割を明らかにすることを目的としている。大量の重炭酸イオン分泌機能を持つ反芻動物(ウシ)耳下腺からコラゲナーゼ処理により分離作製した腺房細胞標本に電気生理学および分子生物学的手法を適用し以下の研究結果を得た。 ホールセルパッチクランプ法により、ウシ耳下腺腺房細胞に細胞外Na^+およびHCO_3^-依存性膜電流の存在を確認した。この膜電流は直線性の電流-電圧関係を有し、Li^+、K^+、Cs^+などの他の一価陽イオンに比して高いNa^+選択性を示し、細胞外HCO_3^-をglutamateおよびCl^-に置換すると大きく抑制された。またこの膜電流の細胞外Na^+濃度依存性はMichaelis-Mentenの式で表された。DIDSの細胞外投与はこの膜電流を濃度依存性に抑制した。細胞外Na^+濃度変化に伴うこのNBCe様電流の反転電位変化からNa^+とHCO_3^-の輸送比率は最低1:2であることが示唆された。RT-PCR法によりNBCe1-BのmRNAがウシ耳下腺腺房細胞に存在することを確認した。そのopen reading frameの塩基配列からアミノ酸一次配列を決定後、発現ベクターにサブクローニングしHEK293細胞にNBCe1-Bを強制発現させた。ホールセルパッチクランプ法によりこのHEK293細胞で観察される細胞外Na^+およびHCO_3^-依存性膜電流の一価陽イオン選択性、細胞外Na^+濃度依存性、DIDS感受性等の性質は、上記のウシ耳下腺細胞で観察されたNBCe様電流の性質と類似していた。
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