2004 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン分泌を誘起する膵β細胞の新しいアドレナリン受容体の遺伝子解析
Project/Area Number |
16590161
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菅 世智子 弘前大学, 生涯学習教育研究センター, 助教授 (80003408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉井 亮 弘前大学, 医学部, 教授 (80108505)
木村 良一 弘前大学, 医学部, 助手 (20343022)
井樋 慶一 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (60232427)
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Keywords | 膵ラ島β細胞 / α_1-アドレナリン受容体 / α_2-アドレナリン受容体 / フォスフォリパーゼC / 百日咳毒素 / L-型Ca^<2+>チャネル / 電位依存性K^+チャネル |
Research Abstract |
膵ラ島β細胞におけるα_1-アドレナリン受容体とα_2-アドレナリン受容体の作用と役割を明確にするために、ラット膵ラ島のインスリン分泌と単離膵β細胞の電気的特性および細胞内Ca^<2+>信号に対するノルアドレナリン(α_1およびα_2-アドレナリン受容体活性薬)およびクロニジン(α_2-アドレナリン受容体活性薬)の効果を検討した。 以下の実験結果を得た。 1.ノルアドレナリンは最終的に膵β細胞に対して抑制性の効果を示すが、その作用には抑制性と興奮性の作用が含まれている。 2.この抑制性作用はα_2-アドレナリン受容体により、百日咳毒素感受性の細胞内情報伝達系を介している。 3.興奮性作用はα_1-アドレナリン受容体により、フォスフォリパーゼCが関与する細胞内情報伝達系を介している。 4.α_1-アドレナリン受容体の興奮性作用はATP-感受性K^+チャネル活性を抑制して、細胞膜を脱分極させ、結果的に細胞内Ca^<2+>濃度を上昇させる。 5.α_2-アドレナリン受容体の活性化はグルコ-スによる膵β細胞の細胞内Ca^<2+>濃度の上昇を抑制する。 6.α_2-アドレナリン受容体の活性化はL-型Ca^<2+>チャネルの不活性化過程を促進し、結果的にCa^<2+>電流を抑制する。 7.α_2-アドレナリン受容体の活性化は電位依存性K^+チャネルの活性を促進する。 以上の結果より、以下のことが結論される。 1.膵β細胞において、ノルアドレナリンはα_1-アドレナリン受容体を介して促進性に作用するもののα_2-アドレナリン受容体も活性化するため、最終的には、抑制性の効果が発現する。 2.α_2-アドレナリン受容体の活性は、Ca^<2+>流入の抑制と、インスリン顆粒の開口分泌機構においてCa^<2+>情報よりも下流の部位で抑制性に作用する。
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Research Products
(2 results)