2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞遊走を負に制御する新規細胞内シグナルリング機構の探索
Project/Area Number |
16590163
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉本 直俊 金沢大学, 医学系研究科, 講師 (80272954)
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Keywords | スフィンゴシン-1-リン酸 / 細胞遊走 / シグナル伝達 / 低分子量G蛋白質 |
Research Abstract |
スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)のユニークな生理活性としてS1P受容体サブタイプ依存的な二方向性細胞運動制御が挙げられる。我々は、S1P受容体の中でS1P_1とS1P_3はともにRacの活性を促進して化学遊走を誘導するが、逆に、S1P_2は化学走化因子によるRac活性化を抑制して化学遊走を抑制すること、さらにS1P_2によるRac抑制はG_<12/13>-Rho情報伝達経路を介することを明らかにしてきた。Rhoのエフェクターには、キナーゼ活性を持つRhoキナーゼ、プロテインキナーゼNやシトロンキナーゼ及びキナーゼ活性を持たないDia、Rhotekin等が現在知られている。RhoによるRac抑制の機序として、神経細胞や白血球細胞ではRhoキナーゼの関与が示されている。その関与を検討するために、Rhoキナーゼ阻害薬や一部分のエフェクターとのみ相互作用する活性型RhoA二重変異体を用い、S1P_2による細胞運動・Rac活性・アクチン骨格調節におけるRhoキナーゼの役割を検討した。Rhoキナーゼ阻害薬はS1P_2によるstress fiber形成は抑制したが、Rac活性、細胞遊走およびラッフル膜形成は抑制しなかった。Rhoキナーゼと相互作用するV14-RhoAあるいはV14,C42-RhoAの発現はCHO細胞においてstress fiberを形成したが、Rhoキナーゼを活性化しないV14,A39-RhoAの発現はstress fiberを形成しなかった。これら3種類の活性型Rho変異体はいずれも、CHO細胞及びCOS7細胞の化学走化因子に対する化学遊走を抑制し、COS7細胞においてGTP結合型Rac1量を減少させた。以上の結果から、Rhoキナーゼの関与は否定的であった。今後、Rhoキナーゼ以外のRhoエフェクターの細胞運動・Rac抑制への関与について検討を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)