2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロトンチャネルによるpHクランプとプロトンシグナルのゆらぎ解析
Project/Area Number |
16590168
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
久野 みゆき 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (00145773)
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Keywords | プロトンチャンネル / pH調節 / オシレーション / ゆらぎ / 温度感受性 / リクルートメント / Q_<10> / 膜電位 |
Research Abstract |
本研究の目的は、強力なプロトン(H^+)シグナル発生装置と正確なリアルタイムpHセンサーの性質を兼ね備える膜電位依存性H^+(Hv)チャネルを利用して、重要なシグナルイオンであるH^+のダイナミックな動態とその制御メカニズムを解明することにある。本年度は、Hvチャネルと共に強力なH^+分泌機構として知られる空胞型H^+-ATPase (V-ATPase)が細胞膜に高密度に発現している破骨細胞で、V-ATPaseとHvチャネル作用を比較した。細胞内外のpHを高濃度pH bufferによってクランプし、Hvチャネルブロッカー(Zn)存在下で、ATPに依存しV-ATPaseの特異的ブロッカー(Bafinomycin)でブロックされるV-ATPase電流を記録した。このH^+電流は脱分極によって増加したが、Hvチャネルに比べpHおよび電位依存性は穏やかでH^+の平衡電位より過分極側でも外向き電流が検出された。V-ATPaseは、H^+輸送を担うmembrane sector(V_0)とATPase活性をもつcatalytic sector (V_1)から成り、更にそれぞれが複数のサブユニットの集合体である。サイトカラシンで処理するとH^+電流のATP依存性が失われた。V_1にはアクチン結合部位があるので、V_0・V_1の会合・乖離がV-ATPaseのリクルートメントに関与することが示された。Hvチャネルに比べると、V-ATPaseのH^+電流振幅は数十分の一以下であり、長期記録による活性変動(ゆらぎ)も小さかった。これらの結果から、H^+シグナルの大きなゆらぎの主体はHvチャネルであり、Hvチャネル、V-ATPaseは異なるリクルートメント機構に基づいてH^+シグナルの形成に参与していることが示唆された。今後、研究過程で開発したJumpパルス法などを利用して制御メカニズムの解明を目指す。
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Research Products
(7 results)