2005 Fiscal Year Annual Research Report
エストロゲンが摂食・飲水行動に及ぼす影響とその脳内機構の解明
Project/Area Number |
16590174
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鷹股 亮 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (00264755)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 恵子 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (30220081)
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Keywords | エストロゲン / 浸透圧調節 / 飲水行動 / バゾプレッシン / 視床下部 / c-Fos |
Research Abstract |
本年度は主にエストロゲンが飲水行動に及ぼす影響とそのメカニズムを明らかにすることを目的とした。卵巣摘出雌ラットへのエストロゲン補充が血漿浸透圧の上昇と脳室内アンギオテンシンII投与によって誘発される飲水行動に及ぼす影響について検討した。7週齢の雌ラットの卵巣を摘出し、皮下にエストロゲンペレットを埋め込んだエストロゲン補充ラットとプラセボを埋め込んだプラセボ補充ラットにおいて飲水行動および、神経活動のマーカーであるc-Fosの視床下部における発現を検討した。 静脈内高張性食塩水投与(1.5M NaCl;3.3ml/kg)および、脳室内アンギオテンシンII投与(5ng)によって誘発される飲水行動は、飲水量で比較すると、エストロゲン補充群でプラセボ補充群に比べて有意に少なかった。浸透圧刺激時には、終板器官(OVLT)におけるc-Fos発現は、エストロゲン群ではプラセボ群よりも少なく、室傍核(PVN)外側におけるc-Fos発現も、エストロゲン群で少なかった。また、PVN、視索上核(SON)のバゾプレッシン陽性ニューロンにおけるc-Fos発現の割合はエストロゲン群で有意に低かった。脳室内アンギオテンシンII投与に対して、脳弓下器官(SFO)、正中視索前核(MnPO)、SONにおける、c-Fos発現はエストロゲン群において有意に少なかった。また、SONのバゾプレッシン陽性ニューロンにおけるc-Fos発現はエストロゲン群で有意に低かった。 以上より、エストロゲンは浸透圧刺激性の飲水およびバゾプレッシン分泌反応を抑制することが明らかになった。エストロゲンは、脳内アンギオテンシンIIに対するこれらの反応を抑制することから、エストロゲンによる浸透圧調節反応の抑制は、少なくとも一部は脳内アンギオテンシンIIに対する反応性の低下を介するものであると推察される。
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Research Products
(5 results)