2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋分泌蛋白質アトラクチンによる食欲調節の分子機構
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16590175
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岸 恭一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80035435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二川 健 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (20263824)
根本 尚夫 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (30208293)
安井 夏生 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00157984)
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Keywords | アトラクチン / 骨格筋分泌蛋白質 / UCP-2 / 宇宙フライトラット / 尾部懸垂 / 食欲 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
長期間にわたる宇宙フライトや寝たきり状態は著しい食欲の低下を来す。しかし、このような食欲低下は単に精神的なストレスによるものとして扱われ栄養生理的学的な研究はほとんどなされてこなかった。申請者らは、長年「宇宙フライトによる筋萎縮の分子メカニズム」について研究を行ってきた。その研究を通し、スペースシャトルに搭載した宇宙フライトラットの腓腹筋のマイクロアレイ解析により、筋肉から分泌される蛋白質群、特にアトラクチン、の発現が著明に増大することを見出した。アトラクチンは脳における肥満抑制蛋白質として発見されたが、本研究では筋分泌蛋白質アトラクチンのエネルギー消費調節機能について解析した。具体的には、筋分泌蛋白質は、宇宙フライトや尾部懸垂だけでなく、絶食などでも増大することを確認した。さらに、Cos7細胞に強発現させた分泌型アトラクチンは、筋芽細胞の遺伝子発現にはほとんど影響を与えなかったが、脂肪細胞の非共役蛋白質-2(UCP-2)の発現を著明に増大した。アトラクチンによりUCP-2発現が増大した脂肪細胞は、エネルギーを脂肪として貯蔵するのではなく、熱に変換していると考えられた。このことは、筋細胞から分泌されたアトラクチン蛋白質は、脂肪細胞におけるエネルギーから脂肪への変換効率を調節し肥満を防ぐ可能性があることを強く示唆した。リコンビナント・アトラクチンを大腸菌で大量に発現しその抗体を作成することに成功したので、現在、血中のアトラクチンレベルを測定できる高感度ELISA(酵素抗体法)を開発中である。最近、脂肪組織がAdipokineと呼ばれるレプチンやアジポネクチンを分泌し節食行動やエネルギー代謝を調節する重要な内分泌臓器であることがわかってきた。本研究は、骨格筋が内分泌臓器としての働きも有することを証明する独創性にあふれた研究である。アトラクチンのホルモン様作用(筋肉由来の最初の食欲調節分子)が明らかになれば、Myokineという新しい概念を提唱できる。
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Research Products
(7 results)