2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590177
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Research Institution | JICHI MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
尾仲 達史 自治医科大学, 医学部, 助教授 (90177254)
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Keywords | プロラクチン放出ペプチド / オキシトシン / 摂食 / 不安 / ストレス / 高架十字迷路 |
Research Abstract |
プロラクチン放出ペプチド(PrRP)が、摂食と神経内分泌系のストレス反応と情動行動において果たす生理的役割を検討した。 PrRPと摂食:PrRPを脳室内に投与すると、摂食量が減少した。逆に抗PrRP中和抗体を投与すると、夜間の摂食量が増加した。昼間においては、中和抗体を投与しても摂食は誘発されなかった。絶食させた後に昼間に再摂食させた場合には、昼間であっても中和抗体の投与により摂食量が増加した。従ってPrRPは摂食しているときに摂食に対し抑制的に働いていると考えられた。さらに、中和抗体投与による摂食量の増加の原因は、主に一回摂食量が増えたためであり、摂食頻度は有意には変化していなかった。これらのデータと、満腹物質であるCCKの投与によりPrRPニューロンが活性化されることと合わせて考えるとPrRPが脳内における満腹シグナルを担っていることが考えられた。 PrRPと神経内分泌系のストレス反応:抗PrRP中和抗体投与により、ストレス刺激に対する視床下部室傍核のFos陽性細胞数が減少し、条件恐怖刺激に対するオキシトシン放出反応が減弱した。視床下部に投射するPrRPニューロンがストレス刺激により活性化されるという私の既報と合わせて考えると、ストレス刺激が加わるとPrRPが視床下部内に放出され、神経内分泌系に対し促進的に働いていることが示唆された。 PrRPと情動行動:PrRPの脳室内投与により高架十字迷路による不安行動が減少した。逆に、抗PrRP中和抗体投与により高架十字迷路の不安行動が増加した。このデータは、行動においては、神経内分泌系とは異なりPrRPは抗ストレス的に働いていることが示唆された。この作用部位と作用機序については今後の課題である。 以上のデータから、摂食によりPrRPが脳内に放出され、摂食を終了させる方向に働くと同時に、行動上では抗ストレス的に働いていることが示唆された。
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Research Products
(6 results)