2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳部位特異的に発現するエストロゲン受容体サブタイプの遺伝子発現制御と機能
Project/Area Number |
16590182
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
佐藤 千登世 (折笠 千登世) 日本医科大学, 医学部, 助手 (20270671)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70094307)
|
Keywords | エストロゲン受容体β / 性的二形成 / 免疫組織化学 / in situ hybridization 組織化学 / 腹内側核 / 扁桃体内側核 / 視索前野脳質周囲核 |
Research Abstract |
当該研究者は、エストロゲン受容体βの性差が認められる領域に、視床下部腹内側核も含まれることを見出した。腹内側核での性差は、新生仔期のステロイドホルモンの影響で成立し、成体においても維持されることを明らかにした。雌雄の成体ラットにおいて性腺摘出後、エストロゲンを投与すると、腹内側核では雌雄共に、エストロゲン受容体βのmRNAとタンパクが両者とも発現の減少が認められた。同様に、他の脳領域での発現についても調べた。当該研究者はすでに、エストロゲン受容体βの性差の認められる領域として、視索前野脳質周囲核があることを明らかにしているが、この領域についても、成体におけるエストロゲン受容体βのmRNAとタンパクの発現について検討した。その結果、エストロゲン受容体βmRNAの発現は、性腺摘出後のエストロゲンを投与によって減少していたが、エストロゲン受容体β免疫陽性細胞の数は、対照群と比して変わらず、腹内側核での発現調節とは異なっていた。さらに、生殖において性的覚醒に重要とされる、扁桃体内側核におけるエストロゲン受容体βについても調査した。扁桃体内側核におけるエストロゲン受容体βでの遺伝子発現は多く、エストロゲン受容体αとの発現領域と一部一致していた。上記2つの脳領域とは異なり、エストロゲン受容体βのmRNAとタンパク両者ともに発現は対照群と比して変わらなかった。以上の結果から、成体において、エストロゲン受容体βの発現は脳領域特異的に制御されていることが示唆された。 一方で、腹内側核から中脳中心灰白質への投射は雌の性行動に重要であることが知られている。腹内側核に出現するエストロゲン受容体βが、このような雌の性行動の調節系に関与しているものかについて、形態学的な手法を用いて検討した。中脳中心灰白質外側部にFluolo-Goldをイオン泳動法にて注入し逆行性にラベルしエストロゲン受容体βニューロンから中脳中心灰白質外側部に投射があるかどうかの検討を行った。腹内側核に発現するエストロゲン受容体βの一部のニューロンはFluolo-Gold免疫陽性であることを見出した。現在、同一の脳領域でのエストロゲン受容体αの投射についてはどうか、検討を行っている。
|
Research Products
(1 results)