2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳部位特異的に発現するエストロゲン受容体サブタイプの遺伝子発現制御と機能
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16590182
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
折笠 千登世 日本医科大学, 医学部, 助手 (20270671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70094307)
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Keywords | エストロゲン受容体β / 性的二形成 / 免疫組織化学 / in situ hybridization組織化学 / 腹内側核 / 扁桃体内側核 / 視索前野脳質周囲核 / siRNA |
Research Abstract |
エストロゲン受容体βの生殖生理における役割が近年注目を集めている。我々は、性ステロイドホルモンが受容体を介して神経内分泌機構の分化と機能の維持に果す役割について一連の解析を進めてきたなかで、排卵におけるERβの関与を明らかにすることができた。さらに、エストロゲン受容体βの性差が認められる領域に、視床下部腹内側核も含まれることを見出し、新生仔期のステロイドホルモンの影響下にあり、成体においても調節をうける領域であることを明らかにした。雌雄の成体ラットにおいて性腺摘出後、エストロゲンを投与すると、腹内側核では雌雄共に、エストロゲン受容体βのmRNAとタンパクともに発現の減少が認められた。しかし、視索前野脳質周囲核では、エストロゲン受容体βmRNAの発現は、性腺摘出後のエストロゲンを投与によって減少していたが、エストロゲン受容体β免疫陽性細胞の数は、対照群と比して変わらず、腹内側核での発現調節とは異なっていた。扁桃体内側核に発現するエストロゲン受容体βは、上記2つの脳領域とは異なり、エストロゲン受容体βmRNAとタンパクともに発現は対照群と比して変わらなかった。以上の結果から、成体において、エストロゲン受容体βの発現は脳領域特異的に制御されていることが示唆された。さらに、腹内側核でのエストロゲン受容体βの生理学的な解析を目的に、エストロゲン受容体βのアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与し、性嗜好性テストを含めた性行動の解析を行なった結果、アンチセンスオリゴヌクレオチド投与群において対照群と比して、雌性行動の変化を認める知見が得られた。そこで、現在、アンチセンスオリゴヌクレオチドの手法にとって代わり有効な手法としてのsiRNAの脳室内投与の適用を試みている。組織化学によって、siRNAの投与による細胞内エストロゲン受容体βが局所的にノックアウトされているかの検討を行ない、性嗜好性テストを含め雌性行動全般にわたり詳細に解析を進めている。
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