2006 Fiscal Year Annual Research Report
脳部位特異的に発現するエストロゲン受容体サブタイプの遺伝子発現制御と機能
Project/Area Number |
16590182
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
折笠 千登世 日本医科大学, 医学部, 助手 (20270671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐久間 康夫 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (70094307)
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Keywords | エストロゲン受容体β / 性的二形成 / 免疫組織化学 / in situ hybridization組織化学 / 視索前野脳質周囲核 / BrdU |
Research Abstract |
エストロゲン受容体(ER)サブタイプ(α,β)は、性ステロイドホルモンが果たす神経内分泌機構の分化という側面において重要な役割を担っていると考えられている。申請者らは、ERβ発現の性差が新生仔期のエストロゲンの影響化で成立するとの知見を報告している。出生直後に、ERβ分布に性差は認められないが、新生仔期のホルモン条件を人為的に変えることで性転換がおこり、これらニューロンの可塑性が生まれる。さらに、我々は、性的二型核の一つとして知られている脳領域である視索前野性的二型核(SDN-POA)に、ソマトスタチンの発現を見出し、性差が認められることを明らかにした(Orikasa et.al.,2007)。SDN-POAでのソマトスタチン発現の性差においても、AVPVでのエストロゲン受容体βの性差と同様に、周生期のホルモン環境に依存することを明らかにした。SDN-POAに発現するソマトスタチン陽性細胞の神経核サイズを計測した結果、雄では、生後2週間まで増加しその後減少していく傾向にあるのに、雌では雄でのパターンとは異なりソマトスタチン陽性細胞が発現する神経核サイズに一過的な増加を認めなった(Orikasa, et al.,2007)。陽性細胞が発現する神経核サイズの増加は細胞数の増加を反映するものと考え、生後のステロイド影響下で、神経細胞新生が行われていると考えた。両領域での性差成立の成因として細胞死によるものだけではなく、ステロイドによって神経細胞新生ならびに細胞移同によると考え、時期の特定をBrdU法によって検討した。出生直後から生後10日間,毎日BrdUを投与し、14日齢で調べた結果、SDN-POAの細胞が新生されることはなかった。妊娠15日目の雌ラットにBrdUを投与し、生後5日齢と14日齢とでBrdUでラベルされた細胞の内側視索前野での分布は異なり、生後のステロイドの影響で移動が行われることが示唆された。
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Research Products
(1 results)