2005 Fiscal Year Annual Research Report
摂取する植物性油脂の違いが寿命を左右する-植物ステロールの役割
Project/Area Number |
16590185
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
小川 博 近畿大学, 医学部, 講師 (00133546)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 和夫 近畿大学, 医学部, 助手 (40182612)
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Keywords | SHRSP / 植物性油脂 / 脳血管障害 / 寿命 / 米胚芽油 / 脂質代謝 / RT-PCR |
Research Abstract |
平成16年度の研究で、摂取植物性油脂の植物ステロール含量に依存してSHRSPの寿命が短縮されることを明らかにした。平成17年度は、寿命短縮作用が最も強かった米胚芽油に関し、その短縮作用機構の解明を目的として研究を進めた。すなわち、6週齢の雄性SHRSPに油脂源として大豆油または米胚芽油を使用し、3%NaClを添加した実験食を飲水と共に38日間自由摂取させ、血圧と脳血管障害発症の動向を観察しつつ、摂取終了後に採血を行うと同時に肝臓、小腸を遺伝子発現測定用に摘出した。 血清脂質では、コレステロール、リン脂質含量が脳卒中発症群で最も高く、脳卒中未発症群でも大豆油群と比較し有意な高値が認められた。従って、米胚芽油摂取により血清脂質が上昇し、その上昇は主としてHDL画分における有意な上昇に基づくことが明らかとなった。このHDL画分上昇は脳卒中発症とどのように関連するのか、その上昇作用機構を含めて今後の大きな課題である。 肝臓では、米胚芽油摂取により、コレステロールおよびトリグリセライド含量が減少することが明らかとなった。そこで、肝臓でのmRNA発現動態を調べてみると、HMG-CoA reductase、ACS(acyl-CoA synthetase)そしてFAS(fatty acid synthase)の有意な発現上昇、MTP(microsomaltriglyceridetransferprotein)、PPAR(peroxisome proliferator-activated receptor)αの発現上昇傾向が認められた。一方、ABC(ATP-binding cassette transporter)G5、ABCG8、LXR(liver X-receptor)α、FXR(farnesoid X-receptor)αでは有意な発現減少が認められた。従って、米胚芽油にはHMG-CoA reductase阻害作用があると考えられ、これが肝臓全体のコレステロール含量の有意な低値につながった主要な原因である可能性が高い。さらに、PPARαの標的遺伝子類の活性化が肝臓トリグリセライドの減少に関与している可能性が考えられる。一方では、米胚芽油摂取によりLXRαmRNA発現が減少することによりABCG5、ABCG8 mRNAs発現の減少が誘導され、肝臓よりの植物ステロールの排出が減少すると考えられ、肝臓に蓄積した過剰の植物ステロールが、何らかの形で寿命短縮作用に関与している可能性が考えられる。この点に関し、今後詳細な検討が必要と考える。 小腸では、SHP(short heterodimer partner)の有意な発現減少、ApoE、SRBI(scavenger receptor class B type 1)の減少傾向とADD1(adipocyte determination and differentiation factor 1)、AB8の発現上昇傾向が認められたが、相互に関連性が見当たらないため、更に詳細な検討を加える必要があると考える。
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Research Products
(4 results)