2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬物によるATP感受性K^+チャネルの活性調節の立体構造基盤の解明
Project/Area Number |
16590191
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山田 充彦 信州大学, 医学部, 教授 (10263237)
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Keywords | ATP感受性K^+チャネル / スルフォニルウレア受容体 / ABC蛋白質 / ヌクレオチド結合ドメイン / ヌクレオチド / アロステリックモデル / K^+チャネル開口薬 / Kir6.2 |
Research Abstract |
ATP感受性K^+(K_<ATP>)チャネルは、スルフォニルウレア受容体(SUR)とK^+チャネルサブユニット(Kir6.2)の複合体である。細胞内ヌクレオチドはSURの2つのヌクレオチド結合ドメイン(NBD1およびNBD2)を介してK_<ATP>チャネルを活性化し、K^+チャネル開口薬ニコランジルはSURの第17膜貫通領域を介してK_<ATP>チャネルを活性化する。NBDの変異がSUR2A/Kir6.2およびSUR2B/Kir6.2チャネルのニコランジルに対する反応性を低下することは、NBDと薬物受容体間にアロステリック連関が存在することを示唆する。この実験事実をアロステリックモデルを用いて解析したところ、2つのNBDが分子内でダイマーとなる可能性が示された。これを以下の方法で実験的に証明した。バクテリアのMJO796蛋白質はNBDだけからなるABC蛋白質であり、ATPを2分子挟むダイマーを構成する。この蛋白質のWalker Bモティーフにある変異を加えておくと、この蛋白質はK-ATPよりNa-ATPとともに安定したダイマーを形成する。これと同等の変異を有するSUR2AまたはSUR2BがKir6.2と構成するK_<ATP>チャネルは、Na-ATPにより活性化された。またこれら変異K_<ATP>チャネルは、K-ATP存在下よりNa-ATP存在下に高いニコランジル感受性を示した。このことは、SURのNBDが確かにダイマー化すること、そしてNBDのダイマー化が起こるとK_<ATP>チャネルの活性化が起こることを示した。またニコランジルなどのK^+チャネル開口薬は、ダイマー化したNBDを有するSURの薬物受容体に好んで結合し、この状態のSURを安定化させるため、K_<ATP>チャネルを活性化することが明らかになった。
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Research Products
(2 results)