2006 Fiscal Year Annual Research Report
薬物によるATP感受性K^+チャネルの活性調節の立体構造基盤の解明
Project/Area Number |
16590191
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
山田 充彦 信州大学, 医学部, 教授 (10263237)
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Keywords | ATP感受性K^+チャネル / スルフォニルウレア受容体 / ABC蛋白質 / ヌクレオチド結合ドメイン / ヌクレオチド / アロステリックモデル / K^+チャネル開口薬 / Kir6.2 |
Research Abstract |
本年度の本研究では、K^+チャネル開口薬(KCO)であるP1075とニコランジルが、血管平滑筋細胞のATP感受性K^+(K_<ATP>)チャネルのどの部位に結合してチャネルを活性化するかを調べた。血管平滑筋細胞のK_<ATP>チャネルは、ABC蛋白質の一種であるスルフォニルウレア受容体(SUR)2Bと二回膜貫通型K^+チャネルサブユニットKir6.1から構成される。しかしSUR2B/Kir6.1チャネルは、SURが別の二回膜貫通型K^+チャネルサブユニットKir6.2と構成するK_<ATP>チャネルと異なり、細胞内ATPが存在しない状態で自然開口を示さず、チャネルの最大活性を実験的に測定することが困難である。したがって、本実験ではSUR2BとKir6.2をHEK293T細胞に共発現し、構成されるK_<ATP>チャネル(SUR2B/Kir6.2チャネル)をパッチクランプ法のインサイドアウトモードで解析した。これまでの研究では、これらのKCOはSUR2Bの第17膜貫通領域に結合することが報告されている。そこで第17膜貫通領域を構成する20個のアミノ酸を、順次アラニンに置換した。いずれの変異を有するSUR2BもKir6.2と機能を有するK_<ATP>チャネルを構成した。すなわち、これらのチャネルは、セルアタッチドモードで閉じており、ATPを含まない溶液の中でインサイドアウトパッチを構成すると自然開口した。この状態で細胞内側に1mMのATPを加えてチャネルを閉鎖した状態で、KCOを細胞内側に加えてK_<ATP>チャネルを活性化した。その結果、P1075またはニコランジルによるSUR2B/Kir6.2チャネルの活性化は、T1249A, M1253Aの変異でほぼ完全に抑制されたが、その他の変異ではほとんど影響されなかった。したがって、この2つアミノ酸がP1075とSUR2Bの結合に本質的な役割を果たすことが分かった。
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