2004 Fiscal Year Annual Research Report
Th2サイトカイン等による気道過敏性形成における上皮-平滑筋機能連関の関与
Project/Area Number |
16590197
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大池 正宏 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70271103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 祐之 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80037506)
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Keywords | 気道平滑筋 / 平滑筋収縮機構 / Th2サイトカイン / カルシウム |
Research Abstract |
気管支喘息の主要な病態のひとつである気道過敏性は各種刺激に対して気道が過剰に収縮する状態で、気道平滑筋の機能的及び形態的変化によって生じる。本研究は、気道における上皮と平滑筋の機能連関が気道過敏性の形成にどのように関わるかを明らかにすることを目的とする。本年度は以下の結果を得た。 炎症細胞から分泌されるinterleukin(IL)-4,-5,-13などのTh2サイトカインが喘息の病態に強く関わることが知られているが、これらがどのような機序で気道過敏性を発現するのかについては一定の結論が得られておらず、この反応における上皮-平滑筋連関の役割も不明である。本年度は、IL-4とIL-13が気道平滑筋の収縮能に及ぼす影響を、平滑筋包埋コラーゲンゲルを用いて検討した。IL-4でゲルを前処置したところ、アゴニスト(ATP)及びカルシウムイオノフォア(A23187)で生じる収縮が著明に減少した。またIL-13で前処置したゲルの収縮は著しく増大した。これらのサイトカインは共通の受容体(IR-13Rα)を活性化すると考えられているが、平滑筋収縮には抑制と増強という正反対の作用を示したことは、それらで生じる細胞内情報の相違点が気道収縮性に影響を与えることを意味しており、この点が治療ターゲットとなり得ると考えられた。 ATPとA23187で生じる細胞内カルシウム濃度の上昇はIL-4とIL-13によって影響を受けず、これらの収縮への影響がカルシウム濃度の修飾によるものではないことが明らかになった。さらに、このIL-4による収縮抑制とIL-13による増強のどちらもPI3-kinase阻害薬のwortmanninで阻害され、これらの反応がPI3-kinaseを介して生じていることが示唆された。PI3-kinaseの下流の情報と気道収縮性との関連、及びこの系への上皮の影響について、第二年度に検討を行う。
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Research Products
(4 results)