2005 Fiscal Year Annual Research Report
微生物由来細胞分化誘導因子によるサイクリンD1分解機構の解明
Project/Area Number |
16590198
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高橋 富美 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (50274436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 裕 愛媛大学, 工学部, 教授 (40114722)
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Keywords | がん / サイクリンD1 / 増殖抑制 / 細胞周期拘束 |
Research Abstract |
Diffcrcntiation-inducing factor(DIF)は濃度依存性にHcLa細胞の増殖を抑制し、これはサイクリンD1の分解促進・mRNA発現抑制による細胞周期拘束のためであるという知見を得た。また、DIFはglycogen synthase kinase-3β(GSK-3β)を活性化することによりこの作用を発揮していることが示唆された。 DIFによるサイクリンD1分解機構を解明するため、ヒトサイクリンD1の変異体を作製した。ヒトサイクリンD1の遺伝子配列には、その分解に関係しているとされるアミノ酸が4箇所報告されている。(1)dcstruction boxを構成するArg^<29>、(2)dcstruction boxを構成するLcu^<32>、(3)GSK-3βによってリン酸化を受けるとされるThr^<286>、(4)dual-specificity tyrosine-phosphorylation regulated kinase 1B(DYRK1B)によってリン酸化を受けるとされるThr^<288>、以上の4箇所である。上記4種類のサイクリンD1の変異体を作製し、それらに及ぼすDIFの効果を検討したところ、サイクリンD1の286位と288位のThrのリン酸化がDIFによるこのタンパク質の分解促進に大きな役割を果たしていることが明らかとなった。 そこで、それぞれのThrをリン酸化する責任分子であるGSK-3βとDYRK1BのsiRNAを用いてこれらのリン酸化酵素の関与にっいて検討したところ、DIFによるサイクリンD1のリン酸化にはこれら2つのリン酸化酵素が関わっていることが明らかとなった。以上の結果からDIFは少なくとも2つのサイクリンD1リン酸化酵素を活性化することにより、サイクリンD1の分解を速やかにかつ強力に引き起こしていることが示唆された。
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Research Products
(2 results)