2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御因子としてのプロスタグランジンの機能を調節する遺伝子改変細胞を用いた治療
Project/Area Number |
16590204
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
林 泉 北里大学, 医学部, 助教授 (90172999)
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Keywords | プロスタグランジンD_2 / レトロウイルス / 発現細胞 / 肺高血圧 / エンドセリン / 膠原病 |
Research Abstract |
本年度はプロスタグランジンD_2(PGD_2)の難治性疾患の軽減作用およびその機序について解析を行った。その手段としてレトロウイルスベクターを用いてPGD_2合成酵素発現を作製し、難治性疾患実験動物モデルにin vivoで導入した。 (1)レトロウイルス組換えPGD_2合成酵素発現細胞の調整 肥満細胞由来培養細胞株cDNAを鋳型としてPCR法によりPGD_2合成酵素cDNAを増幅し、そのcDNA断片をレトロウイルスベクターpLXSNに組み込み、PT67パッケージング細胞に導入した。その組換えウイルス含有培養上清をC57BL/6J-emb細胞に感染させ、PGD_2合成酵素発現細胞を調整した。 (2)実験的難治性疾患モデルにおけるPGD_2合成酵素発現による治療効果の評価 膠原病の合併症として認められる肺高血圧症におけるPGD_2合成酵素発現の効果を、モノクロタリン誘発のモデルを用いて調べた。合成酵素発現細胞のin vivo導入は、モノクロタリン誘発肺高血圧ラットの右心室圧を有意に減少させ、この疾患の軽減をもたらした。この時、血管内膜の増殖を促進するエンドセリンET_A受容体の発現減少と、エンドセリンのスキャベンジャー受容体であるET_B受容体の発現亢進を伴い、肺動脈圧上昇の抑制機序の一部が示唆された。 現在プロスタグランジンI_2安定誘導体やエンドセリン受容体拮抗薬の投与が肺高血圧症の治療として開発されているが、さらにPGD_2受容体とエンドセリン受容体の細胞内クロストークが治療結びつく可能性が新たに推察された。
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Research Products
(6 results)