2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体防御因子としてのプロスタグランジンの機能を調節する遺伝子改変細胞を用いた治療
Project/Area Number |
16590204
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical Univeristy |
Principal Investigator |
林 泉 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (90172999)
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Keywords | プロスタグランジン / 難治性疾患 / 生理活性 / 発現細胞 / 薬理学 / 肺高血圧症 / 膠原病 / プロスタグンランジンD_2 |
Research Abstract |
一昨年度はレトロウイルスベクターを用いてヒトPGD_2合成酵素発現細胞を作製した。そして難治性疾患実験動物モデルとしてブレオマイシン誘発肺線維症モデルを作成し、合成酵素発現細胞をin vivoで導入し、その軽減作用および機序について解析を行った。その結果、調製したPGD_2合成酵素発現細胞が実験動物レベルで、線維化憎悪因子の発現を転写レベルで抑制することにより、特異的に病態を軽減することが示された。また昨年度は、膠原病において併発・続発する強皮症におけるヒトPGD_2合成酵素発現細胞の導入効果について検討した結果、PGD_2合成酵素の産物である15-deoxy-Δ^<12,14>-prostaglandin J_2が、一部PPAR gammaを介して、抑制効果をもたらすことを示した。本年度は肺高血圧症におけるPGD_2合成酵素発現細胞導入の効果について、さらにin vivoでの検討を加えた。このためにモノクロタリン誘発肺高血圧症モデルをラットで作製し、発現細胞を静脈より投与することにより、肺の微小血管内に組織特異的に発現細胞を集積させた。肺動脈圧を観血的に測定した結果、PGD_2合成酵素発現細胞の導入は、対象群に比べ、肺動脈圧を有意に低下させた。この時、血管内膜の増殖を促進するエンドセリンET_A受容体の発現減少と、エンドセリンのスキャベンジャー受容体であるET_B受容体の発現亢進を伴い、肺動脈圧上昇の抑制機序の一部が示唆された。
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Research Products
(2 results)