2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子シャペロンによる慢性骨髄性白血病原因遺伝子産物(BCR/ABL)の分解制御
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16590207
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
塚原 富士子 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40119996)
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Keywords | BCR / ABL / CHIP / c-Cbl / Hsc70 / Hsp90 / イマチニブ / 慢性骨髄性白血病 / タンパク質の分解 |
Research Abstract |
慢性骨髄性白血病原因分子BCR/ABLの分解制御機構における分子シャペロンの役割を明らかにするために、本年度の研究では、主としてキナーゼ領域依存性の分解機序について詳細な検討を行い、下記のことを明らかにした。 1)Hsp90阻害薬、CHIPおよびc-Cb1によるBCR/ABLの分解は、BCR/ABL分子標的薬でありキナーゼ活性を抑制するイマチニブにより抑制された。 2)キナーゼ領域のみの分解について検討したところ、Hsp90阻害薬による蛋白質の分解は、キナーゼ活性依存性であり、イマチニブにより抑制された。しかしイマチニブが結合しないイマチニブ耐性変異体(T3151)では、抑制を認めなかった。またCHIPは、キナーゼ領域の分解を促進したが、c-Cblは影響しなかった。 3)キナーゼ領域を欠失したBCR/ABL変異体では、CHIPによる分解を認めたがHsp90阻害薬およびc-Cb1は影響しなかった。 4)BCR/ABLを安定化するHsc70は、SH2一キナーゼ領域のみに対しても安定化作用が認められた。 5)Hsp90,Hsc70,CHIPは、BCR/ABLのキナーゼ領域に結合した。 6)イマチニブによるBCR/ABLの分解抑制作用は、4量体形成領域を欠失した変異体では認められなかった。 以上の結果から、BCR/ABLキナーゼが、恒常的に活性化することにより、その構造の変化依存性にCHIPは分解を促進、Hsc70は安定化を促進し、一方、リン酸化依存性にHsp90阻害薬およびc-CblはBCR/ABLの分解を促進することが示唆される。さらにBCR/ABLの安定化には、4量体の形成が関与すると考えられる。
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Research Products
(2 results)