2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規気分障害治療薬開発を志向した霊長類中枢タキキニン作動性神経伝達に関する研究
Project/Area Number |
16590208
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
鈴木 秀典 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30221328)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 善朗 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20213663)
須原 哲也 独立行政法人放射線医学総合研究所, 特別上席研究員 (90216490)
村越 隆之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60190906)
永野 昌俊 日本医科大学, 医学部, 講師 (60271350)
|
Keywords | タキキニン / NK-1受容体 / NK-3受容体 / GABA / 扁桃体 / 抗うつ薬 / 霊長類 |
Research Abstract |
霊長類におけるタキキニン神経系の生理的役割を知り、新規気分障害治療薬の基礎的情報を得ることを最終目的とし、本年度は以下の研究を行い成果を得た。 1)アカゲサルタキキニン受容体mRNAの脳内分布 アカゲサルの大脳組織から、タキキニン受容体NK-1およびNK-3 cDNAの全長をクローニングした。NK-1受容体の薬理学的特性には種差があることが知られているが、推定されるアミノ酸配列からヒト型NK-1受容体の薬理学的性質を持つと考えられた。続いてアカゲサル3頭の脳から、大脳皮質の各部位、扁桃体、海馬、等の各組織を分割摘出し、PCR法を用いて受容体mRNAの定量を行った。その結果、大脳皮質には両受容体が広く分布していることがわかった。また特に扁桃体あるいは海馬などの情動記憶に深く関る部位においては、両受容体発現は大きく異なった。これらの結果は、霊長類の高次機能におけるそれぞれのタキキニン作動性神経系の役割を反映していると考えられる。 2)ラット扁桃体におけるNK-1およびNK-3の役割 NK-1およびNK-3 mRNAの発現を定量的に調べた結果、両受容体共に扁桃体には同程度発現しているが、外側核/基底外側核ではむしろNK-3 mRNAがNK-1より多く存在した。電機生理学的検討では、基底外側核の主細胞から記録されるGABA作動性抑制性後シナプス電流(IPSC)の自発性発射頻度が、SPおよびNK-3作用薬senktideによって増加することを見出した。さらに扁桃体への入力線維をシータ波群発刺激すると、IPSCの同期性群発が観察されるが、タキキニン作用薬はこの群発を一過性に増大し、その後抑制した。これらの結果は抗うつ薬の重要な標的組織である辺縁系においてタキキニンシステムが神経活動の修飾に関与していることを示している。
|
Research Products
(4 results)