2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590209
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
大石 一彦 明治薬科大学, 薬学部, 助教授 (80203701)
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Keywords | 神経幹細胞 / 内皮細胞 / 血管腔構造 / 三次元培養 / コラーゲン / 分化 / 脳血管 / 平滑筋細胞 |
Research Abstract |
申請者は、神経幹細胞は血管前駆細胞的な発生ポテンシャルを持ち合わせていて、神経幹細胞が中枢神経系の細胞のみならず内皮細胞や平滑筋細胞に分化し脳血管を形成するものと考え、本研究を計画するに至った。そして、本研究計画の平成16年度では、神経幹細胞が脳血管を構成する内皮細胞に機能的分化することを明らかにした。そこで、平成17年度では、神経幹細胞が平滑筋細胞(もしくはペリサイト)に機能的分化するかをin vitroで明らかにする目的で行なった。すなわち、神経幹細胞をコラーゲン(type I)ゲルに直接包埋すると平滑筋細胞(もしくはペリサイト)に分化し、内皮細胞からなる管腔構造が平滑筋細胞によって支持される構造を形成するか検討した。なお、申請者はすでに、神経幹細胞を10%牛胎仔血清存在下、低密度で培養するとα-smooth muscle actin陽性の平滑筋細胞に分化することを明らかにしている。神経幹細胞を分散し、コラーゲン(1.5mg/ml)と10^6cells/mlの濃度になるように混合した。その30μlを48ウェル培養プレートの中央に滴下し、ゲル化した後、牛胎児血清(10%)とbFGFを添加したメディウム中でインキュベートした。10日間培養したコラーゲンゲルを内皮マーカー蛋白質のPECAM-1やVE-cadherinで免疫染色すると、これらのマーカー蛋白質を強く発現した網目状の構造が観察された。この網目状構造の横断面はリング状の管腔を形成していた。この管腔構造の一部ではα-smooth muscle actin陽性の平滑筋細胞(もしくはペリサイト)が管腔を取り囲んで安定化している様子も観察された。また、GFAP陽性のアストロサイトが管腔構造の周囲に近接して存在する様子も観察された。以上のことより、神経幹細胞は脳血管を構成する平滑筋細胞に機能的分化することが明らかとなった。
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