2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存成立の共通発現機序の同定とその遺伝子治寮への応用
Project/Area Number |
16590212
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
桂 昌司 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80204452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 悟 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90069055)
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Keywords | 薬物依存 / 初代培養大脳皮質神経細胞 / 高電位開口性カルシウムチャネル / up-regulation / 依存性薬物 / カルシウムセンサー蛋白 / タンパク質リン酸化酵素 / 退薬症候 |
Research Abstract |
本研究では、薬物依存形成過程に共通するL型高電位開口性カルシウムチャネル(HVCC)の機能亢進の機序解析と、薬物依存の遺伝子治療への応用を試みる目的で、本年度は薬物依存形成時および退薬症候発現時におけるL型HVCC subunitの発現調節と依存状態の関連性について検討した。諸種の薬物依存モデル動物あるいは依存性薬物を連続曝露した神経細胞を用い、脳内L型HVCCの機能変化の共通性および相違点について検討したところ、身体依存を誘発する依存性薬物ではその種類に関係なく共通にα1およびα2/δ subunitの発現増加を誘導するが、β subunit発現は依存性薬物の種類により固有の発現変化を示した。薬物依存成立時あるいはその退薬後に見られる症状は、依存性薬物の種類に関係なく極めて類似していることから、これら疾患に至る神経化学的な共通経路としてL型HVCC α1およびα2/δ subunitの発現変化が極めて重要であることが判明した。さらに、神経細胞におけるHVCC subunitの発現調節と依存状態の経時変化ついても検討したところ、薬物依存の成立に先行してHVCCの機能変化が生じること、またその機能変化にはHVCC機能の調節機構の1つとして考えられているL型HVCC α1 subunitのリン酸化に伴う調節によるものではないことが判明した。さらに、L型HVCC機能の調節に連関する諸種の細胞内機能性蛋白の発現・動態変化について検討したところ、細胞内calcium sensor蛋白の有意な細胞内局在の変化が観察された。 本研究の結果から、依存性薬物によるL型HVCC α1 subunitの発現増加を介した細胞内Ca^<2+>の動態変化が薬物依存形成に重要な役割を担っているものと考えられる。
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Research Products
(7 results)