2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590241
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
滝野 隆久 金沢大学, がん研究所, 助教授 (40322119)
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Keywords | 細胞外マトリックス / 細胞運動 / 情報伝達 / 細胞極性 / インテグリン / MAPK / JNK / FAK |
Research Abstract |
本研究では細胞外マトリックスにより誘導される細胞運動と極性形成の制御機構におけるJNK情報伝達経路の構成分子とJNK結合分子の役割を検討した。 JNK足場蛋白であるJSAP1がfocal adhesion kinase(FAK)と結合して細胞伸展を制御することを研究代表者は報告した(Oncogene 21,6488-6497,2002)。本年度はJSAP1とFAKの結合がJNK経路の足場として機能しているのか、またJSAP1の細胞運動に対する影響を調べた。フィブロネクチン刺激によりFAK-JSAP1-JNKの複合体形成が誘導されることが免疫沈降実験で証明された。JSAP1発現はFAKの活性を亢進し、興味深いことにp130Casと共発現することによりFAK活性は顕著に増強された。このFAK活性の亢進にともないJSAP1とp130Casのリン酸化も上昇した。FAKはN-末端でJSAP1とC-末端でp130Casと結合することから、JSAP1はFAK scaffold(FAK-Src-p130Cas)と結合して巨大なJNK scaffoldを形成すると考えられた。実際にJSAP1発現はフィブロネクチンにより誘導されるJNK活性化を亢進させた。また、JSAP1発現はフィブロネクチン上におけるJNK依存的細胞運動を誘導し、JNK結合部位を欠失したJSAP1変異体では細胞運動・JNK活性化誘導は認められなかった。JSAP1mRNAの発現はグリオーマ細胞株の運動能、ヒト脳腫瘍の悪性度と相関して上昇していた。以上のことからJSAP1は悪性腫瘍の浸潤・転移能獲得に関与していると考えられた。JSAP1はFAK scaffoldと結合してJNK活性化に最適な足場を形成することにより、恐らく細胞極性形成も含めた細胞運動を制御していると考えられた。
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Research Products
(5 results)