2004 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムネットワーク制御におけるクロマチン構造異常と発癌との関連
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16590258
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
長田 啓隆 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 室長 (30204176)
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Keywords | 肺癌 / クロマチン / HDAC |
Research Abstract |
本研究では、申請時の計画に沿って以下のように検討を進めた。 【1】HDAC class II発現低下の肺癌発症進展における意義の検討 HDAC class IIの中でHDAC5・HDAC10の低発現が、特に強い肺癌予後不良因子となることから、HDAC5・HDAC10の肺癌細胞増殖への影響を検討した。すると、HDAC5遺伝子が、肺癌細胞の増殖を抑制する結果がえられた。HDAC10は作用を示さなかった。又、HDAC class IIの中のHDAC9は、酵素活性部位欠失型のisoform 3が肺癌で主に発現しており、HDAC9 isoform3高発現が予後不良因子になることが判明した。これらの研究成果は、HDAC class IIが肺癌発症に深く関与することを示唆した。 【2】クロマチン構造制御のキーとなる分子の機能及び、癌における異常の検討 近年RNAi機構がクロマチン構造維持に関与すことが示唆され注目されている。このRNAi機構の重要な因子であるRNA分解酵素Dicerが、クロマチン構造制御のキー分子の一つと考え、肺癌でDicerの発現異常の有無を検討した。するとDicer低発現症例は非常に予後不良であることが判明した。この解析結果は、RNAiを介したクロマチン構造制御の破綻が、肺癌発症に関与することを示唆している。 以上の検討結果は、肺癌におけるエピジェネティック異常発症の分子機序の解明及び、エピジェネティック異常を標的とした癌治療法の開発に非常に重要な示唆を与えると考えられる。
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Research Products
(6 results)