2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノムネットワーク制御におけるクロマチン構造異常と発癌との関連
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16590258
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
長田 啓隆 愛知県がんセンター(研究所), 分子腫瘍学部, 室長 (30204176)
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Keywords | 肺癌 / クロマチン / HDAC / ヒストン / TGF-β |
Research Abstract |
昨年度の成果を踏まえ、本年度研究実施計画に沿って、クロマチン構造異常と発癌との関連について以下のように検討を進めた。 【1】DNAメチル化とヒストン修飾との関連の検討 気道上皮細胞に増殖抑制シグナルを伝えるTGF-β受容体(TGFβRII)の肺癌における発現消失機構について検討し、DNAメチル化とヒストン修飾異常が相互に密接に関連しクロマチン構造異常をおこしていると考えられる結果を得た。更にヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤に対する反応性との関連も検討した。(Mol.Carcinog.‘05)。TGFβRII発現低下とTGFβRIIプロモーター領域のクロマチン構造異常との相関を検討したところ、軽度の発現低下ではヒストンH3の脱アセチル化が起こり、更にヒストンH3-Lys4のメチル化低下、DNAメチル化異常という順にクロマチン構造異常が進行すると考えられた。又HDAC阻害剤に対する反応性を検討したところ、H3アセチル化が誘導されると同時にH3-Lys4メチル化が誘導され、HDAC阻害剤除去後、H3アセチル化は迅速に除去されるが、H3-Lys4メチル化は比較的安定して残り、転写誘導の継続に相関することが示唆された。このHDAC阻害剤処理によるH3-Lys4メチル化誘導は、キナーゼ阻害剤によって部分的に阻害され、ATM等のキナーゼの関与が示唆された(Mol.Carcinog.‘05)。 【2】クロマチン構造制御への関与が示唆される小RNA分子の検討 小RNA分子の中でmicroRNA(miRNA)について検討した。小細胞肺癌を中心に高発現を示すmiRNA群を見出し、miRNAの異常の組織型特異性が示唆された。更にそのmiRNAが肺癌の増殖を促進することを確認した(Cancer Res.‘05)。
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Research Products
(6 results)