2004 Fiscal Year Annual Research Report
PCS(早期染色分体解離)遺伝形質に伴う高発がん性の機構に関する研究
Project/Area Number |
16590261
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
池内 達郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (90041839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 興太郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 所長 (40000971)
吉田 光明 放射線医学総合研究所, 緊急被ばく医療研究センター, 室長 (60182789)
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Keywords | 早期染色分体解離 / 分裂期チェックポイント / 染色体不安定性 / 染色体異数性 / トリソミー / 高発がん性遺伝形質 / ウィルムス腫瘍 / 横紋筋肉腫 |
Research Abstract |
PCS(染色分体早期解離)症候群は、M期紡錘体形成チェックポイント障害と染色体不安定性を伴う新たな高発がん性の遺伝形質である.本研究では,PCSホモ接合個体(重度の先天異常を伴う)における腫瘍の発生機序を解明することを目的としている.本年度に得られた知見は以下のとおり: 1.従来使用していた用語"total PCS"を"PCS (premature chromatid separation)"に改称し(OMIM#176430),しばしば"PCS"と混同される類似用語"PCD"(premature centromere division : OMIM#212790;X染色体に限定)との定義上の違いを明確にした(Kajii & Ikeuchi,2004). 2.PCSの出現頻度は本症の確定診断の重要な指標となるため,その検出至適条件を検討した:標本作製時の低張液処理条件は37℃20分間であること,20分以上の処理では健常者の標本にもPCSが出現すること,PCSは低張液処理によって検出可能となること,などが判った(Ikeuchi et al.,2004). 3.PCS患児2例に発生した腫瘍(症例1ではウィルムス腫瘍,症例2ではウィルムス腫瘍と横紋筋肉腫)の染色体および多型性DNAマーカーを解析した.どの培養系でも染色体数は高2倍性(モード:51〜54)を示し、多種類の染色体トリソミーが認められた(+8,+12,+13,+15,+17など).患児の腫瘍と正常細胞を対象にマイクロサテライト多型をマーカーとしたLOH解析を行った結果,3つの腫瘍ともに11番染色体上に選定した複数マーカー全てにLOHが確認された.症例1では両親リンパ球DNAが解析でき,腫瘍での欠失アレルはいずれも母方由来であることを認めた.染色体解析で11番染色体は常に2本存在するので、PCS関連の腫瘍では11番が片親(父方)ダイソミーに変換されていることが強く示唆された(学会報告,2004). 4.新たなPCS症例1例を,染色体解析によって確定診断することができた.
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Research Products
(3 results)