2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト遺伝子解析に伴う生命倫理的な課題とその国際比較
Project/Area Number |
16590264
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Research Institution | Kink University |
Principal Investigator |
藤川 和男 近畿大学, 理工学部, 教授 (90247958)
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Keywords | 遺伝子解析 / 生命倫理 / 遺伝カウンセリング / ヒト遺伝学 |
Research Abstract |
研究目的: 平成17年度にはヒト遺伝子解析にかかわる重要な法律である「個人情報保護法」が施行された。本研究はヒト遺伝子解析に伴う生命倫理における個人情報保護のありかたの諸問題を検討することを、今年度の研究目的の中心課題として、年度初めに緊急に決定した。ヒト遺伝子の情報は個人情報のなかでも生まれつきで変わることのない情報であり、その取り扱いには特に慎重でなければならない。本研究ではいくつかの医学、医療、研究機関の倫理委員会において、今回の法律施行にどのように対処しているかを調べるとともに、問題点を検討することを具体的な研究目的とした。併せて近年生命倫理への関心が高まっていると伝えられている中国の現状を調査する。 研究結果と考察: 「個人情報保護法」の具体的な適用については、調査した研究機関はいずれも倫理委員会等において、年度初めから緊急に検討に着手した。国立循環器病センターでは倫理委員会の審議によって遺伝情報を管理するコンピューターはこれまでも基本的にオフラインとしていたが、それをより厳密に管理する体制とした。国立医薬品食品衛生研究所では、これまでも直接患者などから試料を入手することは原則としてなかったが、他の医療、研究機関などからの試料の授受に際して無名暗号化を徹底することが確認された。中国でもこの分野への関心が急速に高まっており、遺伝倫理、遺伝相談に関する出版物が刊行されている。研究代表者が所属する近畿大学総合理工学研究科においては、遺伝カウンセラー養成課程が平成17年度に設置されたので、「個人情報保護法」に即した倫理委員会規定を制定したが、課程主任である研究代表者は本研究の成果を反映させるようにつとめた。実験研究においても原爆被爆者の資料の入手に際し、個人情報保護に留意した。
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Research Products
(3 results)