2004 Fiscal Year Annual Research Report
肺高血圧症の発症機序とBMPシグナルのTbx遺伝子への作用の解明
Project/Area Number |
16590265
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
森崎 裕子 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室長 (40311451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森崎 隆幸 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 部長 (30174410)
白井 学 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室員 (70294121)
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Keywords | 原発性高血圧症 / TGF-β / BMPR2 / ALK1 / Tbx2 |
Research Abstract |
(1)日本人原発性肺高血圧症(PPH)患者におけるBMPR2およびALK1(ACVRL1)遺伝子異常の関与の検討 PPHの発症の原因遺伝子として、TGF-β superfamilyの受容体であるBMPR2およびALK1(ACVRL1)遺伝子の異常が欧米で報告されているが、日本人でのこれらの遺伝子異常の検討は乏しかった。そこでまずこれらの遺伝子異常について、国立循環器病センター受診患者で検討を行った。その結果、家族性PPHについては6家系全症例(100%)において、孤発症例でも16症例(16/52=31%)において、BMPR2遺伝子の異常を検出し、一方ALK1遺伝子についても4症例(4/52=8%)で遺伝子異常が見つかった。また、関連医療機関の患者でも、10症例においてBMPR2遺伝子異常が検出された。以上より、日本人PPH患者におけるこれらの遺伝子異常の関与は、欧米での報告以上に高いことが示唆された。これら二つの受容体は、リガンドは異なるがともにSmad1/5/8を活性化させることが知られており、その下流の共通するシグナルの異常がPPH発症のメカニズムにおいて重要であると考えられた。 (2)遺伝子が、PPHの要因遺伝子かどうかの検証 上述のSmadsの下流にあるシグナル伝達分子として、BMPにより直接発現制御を受けているTbx2遺伝子に着目し、既に作製した、発生中の心臓で異所的にTbx2遺伝子を発現するマウスを詳細に解析した。この変異マウスは、酸性ムコ多糖類の過剰蓄積から心内膜床の異常肥厚を生じ、心臓形態形成異常を引き起こしていた。現在、胎仔心臓を用いたQRT-PCRにより、Tbx2に制御される遺伝子の同定を行っている。今後、Tbx2が心臓同様、肺動脈の内膜の肥厚に関与し、PPH発症に関わるかどうかを更に解析を進めたいと考えている。
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Research Products
(1 results)