2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト癌細胞核の染色体高次構造の異常とRNA転写制御に与える影響
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16590273
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
村田 晋一 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (20229991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 良平 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30152755)
近藤 哲夫 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (30334858)
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Keywords | chromosome territory / subchromosomal positioning / multicolor FISH / EDC / texture analysis / uterine cervix / squamous metaplasia |
Research Abstract |
平成16年度までの研究において、甲状腺腫瘍のchromosome territory(CT)を解析し、腫瘍化におけるCTの変化を解析した。その結果、CTが癌細胞の核クロマチンの構造変化に大きく関与していることが示された(投稿中)。平成17年度の研究においては、平成16年度の研究をさらに進め、遺伝子発現(RNA転写)におけるCTの関与を解析した。 Epidermal differentiation complex(EDC)は、1番クロモゾーム上(CS-1)に存在する扁平上皮の分化を制御する遺伝子である。培養細胞では、細胞の種類によって、CS-1のCTとEDC遺伝子の位置関係(subchromosomal positioning(SCP))が異なることが報告されている。本研究では、ヒト組織における組織内での細胞分化や病的細胞におけるEDC遺伝子のSCP変化を解析した。対象は、扁平上皮化生を示すヒトの子宮頸部組織である。材料細胞が生きている段階での染色体構造を保つため、凍結置換法を用いて切片標本を作製した。切片標本に対して、multicolor FISH法を用いて、CS-1とEDCをFISH法で2重染色し、両者を視覚化後、EDC遺伝子のSCPを解析した。 その結果、EDC遺伝子のSCPは、細胞の種類および分化によって変化した。正常の扁平上皮では、約70%の細胞において、EDC遺伝子はCS-1のCTの辺縁に存在した。また、扁平上皮の基底層、中層および表層においてもEDC遺伝子のSCPは軽度に異なった。一方、腺上皮では、約40%の細胞において、EDC遺伝子はCS-1のCTの中央に存在した。扁平上皮化生では、約60%の細胞において、EDC遺伝子はCS-1の辺縁に存在した。 以上より、EDC遺伝子のSCPの変化が、扁平上皮化生に関与していると考えられた。すなわち、細胞核におけるCTやSCPは、遺伝子発現(RNA転写)に影響し、引いては細胞機能や形態の変化に関与していることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)