2005 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝に基づく慢性肝疾患進展への酸化ストレス/酸化フォスファチジルコリンの関与
Project/Area Number |
16590287
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊倉 義弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00240953)
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 酸化ストレス / 過酸化脂質 / 酸化フォスファジルコリン / スカベンジャー受容体 |
Research Abstract |
昨年度の免疫組織化学的研究を基盤に、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)肝組織に対する免疫電顕観察を行ない、酸化フォスファチジルコリン(oxPC)は主に脂肪化肝細胞の脂肪滴や変性肝細胞の膜構造に局在していることを明らかにした。それは酸化傷害を意味するものと考えられ、oxPC陽性肝細胞にはしばしば膨化・拡張した細胞内小器官が観察された。また酸化ストレスの重要な発生源である好中球ミエロペルオキシダーゼの発現ときわめて近接して観察され、好中球由来の酸化ストレスの病態への関与が強く示唆された。 また変性あるいはアポトーシスに陥り、oxPC生成に至った肝細胞の処理や組織傷害過程への影響を調べるべく、oxPCの受容体であるスカベンジャー受容体の発現を、病肝において検討した。SR-B1やCD36などがこれに相当するが、NASH肝ではクッパー細胞や星細胞などにおいてその発現亢進傾向を認め、oxPC/スカベンジャー受容体のリガンド/レセプターシステムが、組織傷害後の修復・線維化過程に関与することが示唆された。 以上、この研究期間中に明らかにし得た結果をもとに、所見を系統的にまとめあげ、Hepatology誌上に公表した(Hepatology.2006;43:506-514)。 一方C型肝炎でも、肝組織中のSR-B1発現亢進は肝内ウイルス量と密接に関連し、SR-B1はC型肝炎ウイルスのレプリケーションに何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。近年、SR-B1はC型肝炎ウイルスの細胞内への潜入を促進することが明らかとなってきており、これらの背景のもとに、上記所見を短報にまとめ、J Clin Virol.誌上に発表した(J Clin Virol.2005;33:345-346)。
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Research Products
(3 results)