2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト腸管スピロヘータ症の臨床病理学的検討ならびにPCRを用いた病原菌の同定
Project/Area Number |
16590291
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
中村 眞一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20107816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幅野 渉 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50332979)
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Keywords | intestinal spirochetosis / Brachyspira aaloborgi / Brachyspira pilosicoli / 細菌性大腸炎 / 人畜共通感染症 / 16s ribosomal DNA / NADH oxidase / 大腸生検 |
Research Abstract |
現在までに経験したintestinal spirochetosis(IS)37症例の臨床病理学的特徴は以下のとおりである。 36例は大腸生検材料で、1例は前立腺生検時に混在した直腸粘膜からH-E標本で診断した。男性34例、女性3例で男性に多く、26-83歳(平均60.7)であった。36例は日本人であったが、1名はフィリピンから来た女性であった。 便潜血陽性の精査でISの診断を下されたのが11例と最も多く、下痢は2例であった。全例免疫不全症状はなかった。系統的検索を行っていないが大腸での特異的感染部位は無かった。内視鏡像は発赤以外特徴的な像はなかった。正常粘膜、過形成性ポリープ、低異型度腺腫に菌の付着があったが、高異型度腺腫や癌には見られなかった。多くの症例で大腸腺腫が見られたが、IS感染との関係はないと思われた。 パラフィン切片からPCR法で菌の同定を試みた。16S ribosomal DNA及びNADH oxidaseに対する特異的ブライマーでPCRをかけ増幅産物を電気泳動した。同定可能であった33例ではBrachyspira aalborgi 28例、Brachyspira pilosicoli 5例であった。 ISはまだ病理医に十分に認識されておらず、見逃されている症例が多くあると思われる。感染が限局していると無症状であるが、大腸に広範に感染すると下痢が起こるものと考えられる。犬、鶏、豚など家畜に広く感染しており、人畜共通感染の可能性がある。Brachyspira aalborgiは増殖速度が遅く、抗生物質投与に抵抗性があり、発育速度の速いBrachyspira pilosicoliよりも除菌が困難なものと考えられる。またBrachyspira pilosicoli感染患者の地理的分布に特徴があり、更なる症例の集積が重要であると思われた。
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Research Products
(1 results)