2004 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン病の神経変性形成における非受容体型チロシンキナーゼFynの役割
Project/Area Number |
16590302
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村本 環 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40302096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 健 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (10241241)
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Keywords | チロシンキナーゼ / fyn / ノックアウト / プリオン病 / 神経変性 |
Research Abstract |
プリオン病における神経変性の発生機序における非受容体型チロシンキナーゼfynの役割を明らかにするために、fyn欠損マウスにおけるプリオン病の表現型を解析した。fyn-/-マウス(fyn遺伝子欠損ホモ接合体)、fyn+/-マウス(fyn遺伝子欠損ヘテロ接合体)、fyn+/+マウス(野性型マウス)の脳へプリオン(プリオン感染マウス脳乳剤)を接種した。使用したプリオン株としては、ゲルストマン・ストロイスラー症侯群患者脳組織より単離され、マウス脳への接種で継代されたプリオン株(福岡1株)を用いた。3群のマウスはいずれも、接種後160日程度の潜伏期間の後に発症した。3群はいずれも典型的なプリオン病の症候を示し、その症侯には明らかな差は認められなかった。現在、これらのマウスの脳組織標本を作製中である。これら3群のマウスの脳組織所見と比較するために、fyn-/-マウス、fyn+/-マウス、fyn+/+マウスの脳へ正常マウス脳乳剤を接種する実験を開始し、現在接種を受けたマウスの観察を行っている。 一方、fynの役割についての示唆を与えたGPIアンカー欠損プリオン蛋白発現マウスのプリオン病(異常型プリオン蛋白が脳組織内に蓄積するにもかかわらず、神経変性が欠如する)の解析では、新たにGPIアンカー欠損プリオン蛋白が脳細胞において、GPIアンカーを欠損するにもかかわらず、主としてラフトに局在することが明らかとなった。現在、異常化したGPIアンカー欠損プリオン蛋白がラフトに局在しているか否かを検討している。また、本病態の病理学的解析を電子顕微鏡レベルで行うために、野性型マウス、GPIアンカー欠損プリオン蛋白発現マウスの両者にプリオンを接種し、前者は接種後160日、後者は接種後450日でマウス脳組織を固定し、電子顕微鏡による解析に用いるサンプルを作製しつつある。
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